中静透

中静 透（なかしずか とおる）は、日本の高名な森林生態学者です。1956年3月8日、新潟県に生まれた彼は、森林生態学の研究と普及に長年貢献してきました。

新潟県立長岡高等学校を卒業後、千葉大学理学部生物学科に進学し、1978年に同学科を卒業しました。その後、千葉大学大学院理学研究科生物学専攻の修士課程を1980年に修了。さらに学びを深めるため、大阪市立大学大学院理学研究科後期博士課程生物学専攻に進み、1983年に単位取得退学しています。

学究生活を終えた後、1985年に農林水産省森林総合研究所に入所し、研究者としてのキャリアをスタートさせました。1989年には同研究所の主任研究官に昇任し、森林生態に関する研究に従事しました。さらに、熱帯林に関する研究にも携わり、1992年には農林水産省熱帯農業研究センター主任研究官、1993年には国際農林水産業研究センター主任研究官を歴任し、国内外での研究活動を展開しました。1994年には再び森林総合研究所主任研究官を務めています。

1995年、教育・研究の場を大学に移し、京都大学生態学研究センターの教授に就任しました。ここでは、次世代の研究者育成にも力を注ぎました。2001年には総合地球環境学研究所教授、2004年には人間文化研究機構総合地球環境学研究所教授となり、地球環境問題と生態学を結びつけた研究に取り組みました。2005年には東北大学大学院生命科学研究科教授を兼務し、翌2006年からは同学科の教授として、教育と研究の新たな拠点としました。東北大学では要職を歴任し、2007年には理学部生物学科長、2010年には学術資源研究公開センター長、2011年には同センター植物園長を務めました。また、2013年には大学院生命科学研究科の副研究科長も務めています。

2016年からは人間文化研究機構総合地球環境学研究所特任教授として、再び同研究所での研究活動にも携わりました。長年の教育・研究における貢献が認められ、2018年には東北大学名誉教授の称号を授与されています。

そして2020年、日本の森林研究・整備を牽引する国立研究開発法人森林研究・整備機構の理事長に就任し、現在に至ります。

森林生態学の分野におけるその功績は高く評価されており、多くの受賞歴があります。2003年に日本林学会賞、2004年に松下幸之助記念志財団松下幸之助花の万博記念賞を受賞。特に2007年には、我が国における「みどり」に関する研究開発、技術の向上その他の科学技術に関する功績で、その成果が国民生活の安定向上及び社会経済の発展に多大に貢献した者に対して授与される「みどりの学術賞」の、第一回受賞者の一人となりました。さらに、2011年には日本生態学会賞を受賞しています。

研究活動と並行して、専門分野に関する著書も発表しています。主な著書に『森のスケッチ』（2004年）、ピーター・アシュトンとの対話形式で熱帯林研究の未来を論じた『熱帯林研究ノート―ピーター・アシュトンと語る熱帯林研究の未来』（2009年）などがあります。また、「絶滅の意味」といった論文も発表しています。

本名は浅野 透であることが知られています。

中静透氏は、日本の森林生態学研究において、研究機関、大学、そして国の機関と、多岐にわたる分野で指導的な役割を果たし、その発展に大きく貢献している人物です。

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