総合地球環境学研究所

総合地球環境学研究所：地球環境問題の統合的研究拠点

総合地球環境学研究所（地球研、RIHN）は、地球環境問題への総合的なアプローチで知られる国立研究所です。自然科学のみならず、人文科学や社会科学の知見も統合することで、複雑な地球環境問題への理解を深め、解決策の提案を目指しています。京都府京都市に本拠地を置き、大学共同利用機関法人人間文化研究機構に属しています。愛らしい大根と犬を融合したようなキャラクター「ちきゅうけん」も有名です。

幅広い研究活動

地球研は、多様な研究プロジェクトを実施しています。2023年11月時点で、31件の研究プロジェクトが終了し、現在8件が進行中です。研究は、予備的な共同研究（インキュベーション研究）から始まり、実行可能性調査（予備研究）、準備段階（プレリサーチ）を経て、本格的な共同研究へと段階的に進められます。各段階では、3～5年の期間をかけたフルリサーチを実施し、綿密な調査と分析を行います。

設立と歴史

地球研は、1995年の学術審議会の建議を受け、地球環境科学に関する総合的な研究機関として2001年4月1日に設立されました。当初は京都大学構内に設置されましたが、2002年には旧京都市立春日小学校に移転。2004年には大学共同利用機関法人人間文化研究機構に移管され、2006年には上賀茂に竣工した専用施設に移転しました。2010年には「森林をめぐる伝統知と文化に関する国際会議」を主催するなど、国際的な活動にも積極的に取り組んでいます。

未来設計イニシアティブ：持続可能な未来社会の実現へ

地球研の重要な取り組みとして、「未来設計イニシアティブ」があります。これは、循環型社会、低炭素社会、自然共生社会といった未来社会のシナリオを提示し、その実現に向けた社会制度の提言を行うことを目的としています。認識科学と設計科学の両方の視点を導入し、学問分野の垣根を越えた研究（トランスディシプリナリティ）を推進しています。未来可能性、地球システム、統合知を重視し、人間と自然系の相互作用を包括的に捉え、多様な要素を考慮した制度設計を目指しています。

このイニシアティブは、「風水土」、「山野河海」、「生存知」の3つの柱から構成され、基幹研究ハブ勉強会、未来設計イニシアティブ・セミナー、基幹プロジェクト・シンポジウム、フォローアップ事業などを通じて、統合知のコミュニティ形成を促進しています。

組織と連携

地球研は、研究部、研究基盤国際センター、管理部から構成されています。また、多くの国内外の研究機関と学術協定を締結し、国際的な連携を強化しています。歴代所長には、日高敏隆氏、立本成文氏、安成哲三氏、山極壽一氏といった著名な研究者が名を連ねています。

研究成果の公開

地球研は、研究成果を様々な形で公開しています。定期刊行物『地球研ニュース』、一般書『地球研叢書』、研究報告書、紀要などを発行し、研究の進捗や成果を広く社会に発信しています。これらの出版物は、地球環境問題に関する貴重な情報源として活用されています。

地球研の役割

総合地球環境学研究所は、地球環境問題への理解を深め、持続可能な未来社会の実現に貢献する重要な役割を担っています。多様な研究分野を統合し、国際的な連携を強化することで、地球規模の課題解決に積極的に取り組んでいます。その活動は、未来世代への責任を果たす上で、極めて重要な意義を持っています。

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