中馬馨

中馬 馨（ちゅうま かおる）の生涯と業績

中馬馨は1904年11月20日に宮崎県児湯郡三納村に生まれました。彼は政治家として特に大阪市長としての活動が知られています。長男には衆議院議員の中馬弘毅がいます。

学歴と初期キャリア

中馬は1916年、宮崎中学校に入学後、1920年に攻玉社中学校に編入し、1922年に卒業しました。そして1926年には第一早稲田大学高等学院を経て、1929年早稲田大学政治経済学部を卒業しました。大学卒業後は大阪市役所に奉職し、関一をはじめとする市長たちの側近として市政に関与しました。

彼の経歴には市民局長や総務局長も含まれており、1948年には助役に就任しました。助役在任中には大阪市立大学の開設や、ジェーン台風による被災者の支援活動を行い、大阪市の発展に寄与しました。1956年に助役を退任した後、彼は新たな挑戦を待っていました。

大阪市長としての選出

1963年、中馬は社会党、共産党、民社党、さらには各労働組合と部落解放同盟の推薦を受けて大阪市長選挙に出馬しました。この選挙では自民党から推薦された候補を破って当選を果たしました。2期目以降は共産党を除く多くの党が推薦する形となり、3期目にわたって市長職を全うしました。この間、全国市長会の会長や日本万国博覧協会の理事としても活動しました。

政治的功績と課題

市長在任中の中馬は、25年後を見据えたマスタープランを設定し、地下鉄網や高速道路網の整備を推進しました。また、大阪駅前再開発や複数の商業施設の建設にも尽力し、その功績から「地下鉄市長」と呼ばれるようになりました。しかし一方で、在職中に労働組合や部落解放同盟との密接な関係が構築され、これが公務員の質を低下させる一因ともなり、「公務員天国」と称される状況を招きました。この状況は長年にわたる行政の腐敗につながっていきました。

エピソードと影響

彼の政治キャリアにはいくつかの興味深いエピソードがあります。その一つに、当時の大蔵大臣・田中角栄との会談があります。田中からは、大阪港の防潮堤工事を国が負担する代わりに、大阪市内の路面電車を廃止するよう提案されたことがありました。これは、中馬が社会党系の市長であったため、東京の自民党や労働組合にも影響を及ぼすと考えられていたからです。

また、1963年には市域の拡大を提唱し、「最終的には府下全部を大阪市域にするのが好ましい」と発言しており、彼のビジョンは大胆でした。

最後の年

中馬は1971年11月8日に市長職のままで死去し、彼の功績や市政に対する影響は今も多くの人々に語り継がれています。彼の遺体は豊中市の服部霊園に埋葬されており、当初は大阪市が墓地使用料を負担していましたが、2006年には市議会の要求によって撤去されました。現在、その跡地は市民の霊園として利用されています。中馬馨の生涯は、昭和時代の大阪に大きな影響を与えた人物として、多くの記憶に留まっています。

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