ジェーン台風

ジェーン台風：1950年秋の猛威

1950年9月、近畿地方と四国地方を襲ったジェーン台風（昭和25年台風第28号、国際名：Jane）は、当時アメリカ占領下にあった日本において、大きな爪痕を残しました。気象業務が米軍と共同で行われていたことから、番号ではなくアメリカ式の名称で呼ばれたこの台風は、その強風により甚大な被害をもたらしました。

台風の発生と経路

ジェーン台風は、1950年8月30日、硫黄島の南西海上で発生しました。発生緯度が高かったことが特徴で、最盛期には中心気圧940ヘクトパスカル、最大風速50m/sに達する勢力を持つ巨大な台風へと成長しました。

9月3日10時、台風は徳島県日和佐町（現美波町）付近に上陸。その後、淡路島を通過し、神戸市垂水区付近に再上陸しました。勢力を保ったまま、若狭湾へ抜けて日本海へ進み、9月4日4時頃には北海道渡島半島南端に再上陸。北海道を縦断し、オホーツク海へ抜けて消滅しました。

強風による甚大な被害

ジェーン台風による被害は、豪雨よりも強風の影響が顕著でした。四国、紀伊半島の沿岸部では35m/s、近畿、北陸、東海地方では30m/sもの暴風が吹き荒れました。和歌山県では最大風速36.5m/s、最大瞬間風速47.2m/sを観測。神戸海洋気象台でも最大瞬間風速40m/s以上を記録しましたが、計測器の破損により観測が一時中断されました。

大阪湾では、強風による吹き寄せで高潮が発生し、多くの船舶が被害を受け、家屋の浸水も多数発生しました。高潮と強風は、沿岸地域の住民に大きな打撃を与えました。

人的被害と物的被害

ジェーン台風は、日本列島に深刻な被害をもたらしました。その結果として、

死者: 398名
行方不明者: 141名
負傷者: 26,062名
住家全壊: 19,131棟
住家半壊: 101,792棟
床上浸水: 93,116棟
* 床下浸水: 308,960棟

という壊滅的な被害が発生しました。特に和歌山県有田郡箕島町（現：有田市）の辰ヶ浜漁港では、出漁中の漁船13隻が流出し、3隻が沈没、21隻が破損するなど、甚大な被害を受けました。100名以上が行方不明となり、漁業関係者を中心に多くの犠牲者が出ました。

ジェーン台風と続く災害

ジェーン台風の上陸からわずか10日後には、キジア台風が日本に上陸。列島各地は、立て続けに襲来した台風により、更なる被害に見舞われました。ジェーン台風は、1950年における日本の災害史に暗い影を落とす出来事となりました。

まとめ

ジェーン台風は、その強風による被害の大きさ、そして立て続けに発生したキジア台風との関連性から、戦後日本の災害史において重要な位置を占めています。この台風がもたらした教訓は、現代の防災対策にも活かされ続けています。

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