串原発電所

串原発電所の歴史と設備

概要

串原発電所は、岐阜県恵那市に位置し、1920年から1968年まで運転されていた水力発電所です。矢作川本川の上流に建設され、大同電力の前身である木曽電気興業によって設置されました。その後、大同電力から日本発送電を経て中部電力に引き継がれました。発電所は矢作ダムの建設に伴い、1970年に廃止され、その多くがダムの貯水池として水没しました。

初期の発電所建設

第一次世界大戦の影響で電力需要が急増したため、串原発電所は迅速に建設されることとなりました。1938年の設計変更後、1918年に仮発電所が完成し、1918年6月に運転を開始しました。この仮発電所は名古屋電灯が設置したもので、需給の逼迫を緩和するために急ぎ建設されました。

その後、新たな本発電所の計画が進み、1918年に工事の許可が得られました。本発電所は1921年に竣工した後に運転を開始し、仮発電所は役目を終えて廃止されました。

発電所の技術的進展

本発電所は最初の出力が5,720キロワットで、1935年には水量の増加が承認されて搬出能が向上しました。1940年には出力が6,240キロワットに引き上げられ、エネルギー供給の強化に寄与しました。国の電力供給の方針に従い、1940年代には日本発送電が設立され、その後中部電力に譲渡されるなど、発電所は変遷を重ねました。

ダム建設と廃止

1970年には、矢作ダムが建設されることが決定し、それに伴い串原発電所は水没の運命を辿ります。発電所の全ての設備がダム貯水池に水没し、1968年に正式に廃止されました。これにより、串原の地は新たなインフラへと生まれ変わったのです。

設備の構成

串原発電所の取水口は、発電所から約7.6キロメートル上流に整備されていました。高さ4.24メートル、長さ54.5メートルの堰を基に、流れをコントロールするための構造が施されていました。また、導水路は全長5,757メートルに及び、その多くはトンネルで構成されていました。

水圧鉄管は132.73メートルの長さで設置され、2条で構成されていました。発電機は2台設置され、容量は3,750キロボルトアンペアに及ぶもので、日立製作所の製品が使用されました。

終わりに

串原発電所は、地域の電力供給に長年貢献した施設であり、その歴史は技術進歩や地域経済の変遷を象徴しています。発電所が廃止された後、その場所は新たなダムの建設地と化しましたが、その歴史は今でも岐阜県の地域社会に根付いています。

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