丸い伊藤商店

株式会社丸い伊藤商店：北見の百貨店「まるいいとう」の歴史

株式会社丸い伊藤商店は、かつて北海道北見市に存在したセイコーマート傘下の卸売商社であり、同市内で百貨店「まるいいとう」を経営していました。その歴史は、1914年（大正3年）に新潟県出身の伊藤元治が、呉服店丸井今井から独立し、いとう金物店として創業したことから始まります。

創業と発展

当初、独立の候補地は湧別でしたが、視察の結果、更なる発展が期待できる北見市（当時は野付牛村）に店を構えることとなりました。しかし、創業直後の5月には大火に見舞われ店舗が全焼。同年7月には店舗を新築し、呉服類を仕入れて丸い伊藤呉服・金物店として再開しました。その後、陸別町、斜里町と支店を広げ、1924年には東京都に進出するなど、事業は急速に拡大しました。

1925年（大正14年）には株式会社伊藤商店に改組。1928年（昭和3年）には株式会社丸い伊藤商店へと商号を変更し、1929年（昭和4年）には北見支店を百貨店形態に改めました。これにより、食料品卸部門も移転し、百貨店としての基礎を築きました。

百貨店としての展開

1956年（昭和31年）には通産大臣から百貨店営業の許可を得て、名実ともに百貨店としての地位を確立しました。1964年（昭和39年）には百貨店部新館を着工し、1976年（昭和51年）には新館を建設し開店。売場面積を大幅に拡大しました。最盛期の1982年（昭和57年）には61億3000万円の売上を記録しました。

衰退と閉店

しかし、1985年（昭和60年）には、きたみ東急百貨店や郊外大型量販店の開店により売上が低迷。累積赤字が膨らみ、経営は厳しさを増しました。1986年（昭和61年）には、経営不振の克服は困難として百貨店の自主廃業を決定。同年7月に百貨店は閉店し、従業員は関連企業への再就職となりました。

その後

百貨店閉店後、店舗跡は東急に売却され、テナントビル「駅前プラザHOW」として開館しましたが、1998年（平成10年）に閉館、建物は解体されました。株式会社丸い伊藤商店は、1997年（平成9年）に道東酒販と合併し、株式会社道東伊藤となりました。2006年（平成18年）には、跡地に北見信用金庫本店が開業しました。

店舗・営業所

かつて存在した店舗・営業所は以下の通りです。

小売店
北見店（百貨店）
網走店
陸別店
斜里店
人形町店
千住店
板橋店
横須賀店
卸部営業所
北見営業所
網走出張所
釧路出張所
遠軽出張所
金物部営業所
北見営業所

子会社

株式会社丸い伊藤商店は、以下の企業を子会社として抱えていました。

新興食品工業株式会社
北見醸造株式会社
北見機材工業株式会社
丸いシネマ映画館株式会社
丸い食堂株式会社

その他

屋号の「丸い」は丸井今井からの暖簾分けであることを意味しますが、より親しみやすいように平仮名が使用されました。

関連事項

丸い会：旧まるいいとう百貨店の元従業員による親睦会。会員の高齢化により、2024年（令和6年）に解散予定です。
* 丸三鶴屋野付牛店：まるいいとう百貨店と同じく、丸井今井より暖簾分けされた百貨店の北見店。

株式会社丸い伊藤商店は、北見の地で一時代を築いた百貨店として、その名と歴史は今も語り継がれています。

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