卸売

卸売（おろしうり）の概要

卸売とは、製造業者や市場から商品を仕入れ、小売業者に販売する流通業態の一つです。卸売業者は、製品がどのように製造されるかや、消費者にどの程度売れているかといった情報を通じて、流通過程の中で重要な役割を担っています。このように、卸売業は商品製造から消費者の手に届くまでの流通の中間に存在し、欠かせない存在となっています。

卸売業者は、大量に生産された商品を小売業者の需要に応じて小分けにし、流通の効率を高めます。一般的に、製造業者は大きなロットで生産し、卸売業者がその製品を、小売店の小さな単位で販売します。このプロセスは、商品の供給が安定し、流通の途切れを防ぐために必須です。

さらに、卸売業者は多くの製造業者や市場と関わりを持ち、地域のニーズに合った商品を提供する役割も果たしています。これにより、地域特性に応じた商品の流通が可能となり、消費者にとっても便利な仕組みが実現されます。

しかし、近年では小売業者の全国チェーン化が進んでおり、大規模な小売店が直接メーカーから商品を仕入れる傾向が強くなっています。その結果、卸売業者の存在意義が薄れ、相対的にその重要性が低下している状況も見受けられます。また、医薬品など特定の製品においては、卸売業界自体が再編成される動きもあり、その影響が及んでいます。

一方で、最近ではメーカーや産地が直接消費者に商品を販売する「直販」も注目されています。このスタイルは主に通信販売を通じて 、アクセスが容易になったことから特に大口の個人消費者向けに広がりを見せています。例えば、宅配便の普及や決済手段の多様化は、卸売業界に新たな競争をもたらしています。

主な集積地

卸売業者は、特定の商品ごとに集積地を持つことが多いです。これにより、特定の地域で効率的に商品を提供することが可能となります。以下に、主要な商品ごとの集積地を示します：

• - 海苔: 大森海苔問屋街（東京都大田区）
• - 衣料品・繊維品: 横山町、馬喰町（東京都）、大阪本町（船場）
• - 玩具・人形: 浅草橋、蔵前、浅草（東京都）、大阪松屋町
• - 皮革製品: 浅草（花川戸）や大阪日本橋（はきはきタウン）
• - 調理用具: 合羽橋（西浅草）、大阪難波千日前
• - 駄菓子: 名古屋明道町、日暮里（現在は再開発により消滅）
• - 書籍・出版: 神田神保町（東京都）
• - 宝飾品: 御徒町（東京都）
• - 魚介類: 江東区豊洲市場（東京都）
• - 野菜・果物・花き: 大田区大田市場（東京都）
• - 和陶器: 人形町（東京都）
• - 家庭金物: 大阪・谷町、島之内
• - 建築金物: 大阪・立売堀

結論

卸売業は経済全体の中で重要な役割を果たし、商品流通を支える中核的な業態です。今後も、消費者のニーズや市場の変化に応じて、卸売業界はその方法や形態を進化させる必要があります。

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