丸山伸彦

丸山 伸彦

丸山 伸彦（まるやま のぶひこ）氏は、1957年（昭和32年）7月生まれの、日本の学界において美学および美術史を専門とする研究者です。特に、日本の衣服装飾史という独自の専門分野において、長年にわたる深い研究を展開し、この分野の第一人者として広く認知されています。文学修士の学位を有しており、研究と教育の両面で多大な貢献をしています。

経歴

丸山氏の学歴と職歴は以下の通りです。

学問への道を志し、東京大学文学部美術史学科で学び、1983年（昭和58年）3月に卒業しました。その後、さらなる学術的探求を目指し、同大学大学院人文科学研究科の修士課程に進学。日本美術史を専攻し、1985年（昭和60年）3月に修士課程を修了し、文学修士の学位を取得しました。

大学院修了後、丸山氏は同年4月より国立歴史民俗博物館に助手として着任し、博物館という場で実物資料に基づいた研究や調査に携わりました。歴史と文化に関する貴重な資料が集まるこの環境で、研究者としての基礎を築き、専門分野への理解を深めました。1997年（平成9年）4月には同博物館の情報資料研究部にて助教授に昇任し、研究活動においてより主導的な役割を担いました。

2000年（平成12年）4月には、教育機関である金沢美術工芸大学に助教授として異動。大学教育の場に移り、自身の専門分野に関する講義や学生への研究指導を開始しました。そして、2003年（平成15年）4月からは武蔵大学人文学部日本・東アジア文化学科の教授に就任し、現在に至るまで、精力的に研究活動を続けるとともに、後進の育成に力を注いでいます。大学教授としての活動は、教育、研究、学術論文の発表、学会での活動など多岐にわたります。

研究分野と業績

丸山氏の専門は、美学・美術史の中でも特に「日本の衣服装飾史」です。衣服は、単なる身体を覆うものではなく、時代の文化、社会構造、美意識を反映する重要な要素であり、その歴史を紐解くことは、日本の文化史全体を理解する上で不可欠です。丸山氏は、この分野において、深い洞察と実証的な研究に基づいた貴重な業績を残しています。

主な著作

丸山氏の研究成果は、数多くの書籍として発表されており、日本の衣服装飾史研究における重要な参考文献となっています。主な著作としては、以下のようなものが挙げられます。

1993年には、京都書院より『日本の染織 3 武士の装い (京都書院美術双書)』および『日本の染織 5 (京都書院美術双書)』を刊行しました。これらは、日本の伝統的な染織技術や衣服の歴史に関する基礎的かつ体系的な研究を示しています。
同年には、至文堂から『武家の服飾(日本の美術340)』を上梓し、特に武士階級の装束とその歴史的変遷に関する詳細な分析を行いました。
2002年刊行の『産地別 すぐわかる染め・織りの見分け方』（東京美術）は、日本の染織品に関する実践的な知識を提供し、専門家だけでなく一般の愛好家にも役立つ内容となっています。
江戸時代の衣服文化に焦点を当てた研究も多く、2007年には小学館から『日本ビジュアル生活史 江戸のきものと衣生活』を、2008年には角川学芸出版から『江戸モードの誕生 文様の流行とスター絵師 (角川選書)』を刊行。これらの著作では、当時の流行やデザイン、衣服が社会生活や文化にどのように結びついていたかを詳細に論じています。

共同での研究成果としては、1988年に毎日新聞社から刊行された、桐畑健氏との共著『小袖 (鐘紡コレクション)』があります。これは、貴重な小袖コレクションの紹介を通じて、日本の近世以前の衣服デザインや技術に関する重要な情報を提供しています。また、歴史における色彩の役割や文化に関する研究をまとめた、2012年刊行の『図説 江戸図屏風をよむ』（河出書房新社、小沢弘氏との共編）や、『日本史色彩事典』（吉川弘文館、編著）など、多様なテーマで研究活動を展開し、その成果を共有しています。

丸山氏の多岐にわたる著作は、日本の衣服装飾史研究の進展に大きく貢献するとともに、一般の人々が日本の豊かな衣服文化に触れる機会を提供しています。その研究活動は、学術データベース等でも確認でき、学界内外からの注目を集めています。

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