丹平写真倶楽部

丹平写真倶楽部の概要

丹平写真倶楽部（たんぺいしゃしんくらぶ）は、アマチュア写真家の集まりであり、特に関西地域の写真文化に深く根付いている団体です。この倶楽部は、浪華写真倶楽部の一部のメンバーによって設立され、1930年（昭和5年）に大阪市南区心斎橋にある「丹平ハウス」で初めて活動が始まりました。この建物は丹平商会が所有しており、1階には流行の喫茶「ソーダファウンテン」があり、多くの写真家が集まっていました。丹平ハウスはまた、赤松麟作が設立した洋画研究所も併設されており、当時の文化的な交流の場となっていました。

結成とメンバー

倶楽部の結成は上田備山を中心に行われ、後に安井仲治が参加するなど、徐々に多くの著名な写真家が加わりました。主要メンバーには、河野徹、椎原治、平井輝七、本庄光郎などがいます。特に、手塚治虫の父である手塚粲もメンバーとして名を連ねています。

丹平写真倶楽部は、「浪華」との関係においても重要です。多くの共通メンバーが存在し、一般に「丹平」は「浪華」の弟分と見なされていましたが、より前衛的でストレートフォトグラフィの方向性が強い団体でした。

展覧会の開催

丹平写真倶楽部は、1935年から毎年東京での展覧会を開催し、その活動を広げていきます。こうした展覧会は、その後も戦後にわたって継続され、各地での写真文化の発展に寄与しました。

京都丹平の設立と分派

1946年には和田生光や木村勝正らが新たに京都に「京都丹平」を設立し、さらに1953年にはシュピーゲル写真家協会が棚橋紫水、河野徹、木村勝正らによって分派されました。このように、丹平写真倶楽部から派生した多様な団体が形成され、関西の写真界における影響力を広げていくことになります。

主要文献と作品集

丹平写真倶楽部の活動を記録した重要な文献として、1940年には十周年記念写真集『光』が公開され、2006年には国書刊行会から復刻版が発売されています。この写真集には、岩浅貞雄、椎原治、手塚粲など、さまざまなメンバーの作品が収められています。たとえば、岩浅貞雄の「惜春」や手塚粲の「PHANTOM」など、多彩なテーマの作品が登場しています。

文化的影響

丹平写真倶楽部は、アマチュア写真家としての活動を通じて、関西地域における写真文化の発展に大きく寄与しました。彼らの作品や展覧会は、技術の向上や表現の幅を広げると同時に、写真アートの受容を進めていったのです。特に、前衛的なストレートフォトグラフィの志向が、後の世代の写真家たちに多くのインスピレーションを与えることになりました。

このように、丹平写真倶楽部は単なる写真家の集まりではなく、関西におけるアートシーンの一翼を担う重要な団体であり続けています。

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