丹沢悠一

日本を拠点に活動するゲームデザイナー、丹沢悠一（たんざわ ゆういち）氏は、山梨県西八代郡の出身です。長年にわたりタイトー、そしてスクウェア・エニックスといった著名なゲーム開発会社でキャリアを積み、現在は自身が立ち上げた合同会社黒帯ゲームズの代表を務めています。その経歴は、異色の学生時代から始まり、ゲーム業界での多岐にわたる活躍を経て、独立に至るまで、独自の歩みを刻んでいます。

学生時代、丹沢氏は武蔵中学校・高等学校を経て千葉大学法経学部法学科へ進学しました。大学では勉学と並行して空手部に熱心に打ち込み、関東・甲信越大学体育大会の空手の部個人戦LLクラスで準優勝という輝かしい実績を残しました。まさに空手に明け暮れる日々を送っていた彼に、ゲーム業界への道が開けるきっかけが訪れます。それは、映画館で偶然目にしたタイトー開発のゲームソフト『ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国』のテレビコマーシャルでした。このCMに強い衝撃を受けた丹沢氏は、空手で培った集中力と情熱をゲーム開発に向けようと決意し、開発元であるタイトーへの入社を強く志望するようになります。

大学卒業後の2002年、その念願叶ってタイトーに入社。ゲーム開発の世界へ第一歩を踏み出しました。タイトーでは、自身が衝撃を受けた『ラクガキ王国』シリーズの続編にあたる『ラクガキ王国2 魔王城の戦い』にプランナーとして参加するなど、キャリアの初期から主要な開発に携わりました。ニンテンドーDS向けタイトル『ロストマジック』ではワールドセッティングとストーリーを担当し、その後の『スペースインベーダーゲットイーヴン』、『みんなの動物園』、『みんなの水族館』といったDS/Wiiウェアタイトルではディレクターを務めるなど、様々なプラットフォームで開発経験を積んでいきます。

2010年には、スクウェア・エニックスへ活躍の場を移します。ここでもディレクターとしてPlayStation Vita向けタイトル『地獄の軍団』を手がけるなど、コンシューマゲーム開発に深く関わりました。特にアーケードゲーム分野ではその手腕を発揮し、『LORD of VERMILION III』およびそのリニューアル版『LORD of VERMILION Re:3』ではプロデューサーを務め、多くのプレイヤーを魅了しました。さらに、アーケード向けロボットアクションゲーム『フィギュアヘッズ エース』や、メカデザインにこだわった『星と翼のパラドクス』でもプロデューサーとして開発を牽引し、大型アーケードタイトルの成功に貢献しました。タイトー、スクウェア・エニックスという大手ゲームメーカーで、プランナー、ディレクター、プロデューサーと、幅広い役割を経験し、多種多様なジャンルのゲーム開発に携わってきたことは、丹沢氏の大きな強みとなっています。

スクウェア・エニックスを2021年1月末をもって離れた後は、フリーランスとして活動を開始しました。この期間は冒険企画局にも籍を置きながら、自身の経験を活かした様々なプロジェクトに携わっていたと見られます。そして2023年5月1日、自身のゲーム開発会社である合同会社黒帯ゲームズを設立。長年のゲーム業界での経験と実績を基盤に、独自のビジョンに基づいたゲーム開発や新たな事業展開を目指しています。

丹沢悠一氏は、学生時代の体育会系での厳しい鍛錬で培った精神力と、ゲームのCMに心を奪われるような純粋な感性を持ち合わせた、稀有なゲームクリエイターと言えるでしょう。これまでのキャリアで培った幅広い知識と経験を活かし、合同会社黒帯ゲームズ代表として、これからどのようなゲームを世に送り出すのか、その動向が注目されています。

もう一度検索