丹羽光重

丹羽光重の生涯と業績

丹羽光重（にわ みつしげ）は、江戸時代前期を代表する大名であり、陸奥国白河藩の第2代藩主、後に陸奥二本松藩の初代藩主として知られています。彼は、元和7年12月28日（1622年2月8日）に丹羽長重の三男として誕生し、幼名は宮松丸でした。その後、異母兄の早逝により、寛永5年（1628年）に嫡子となり、寛永11年（1634年）には徳川家光から偏諱を受け、光重という名を与えられました。

光重は、寛永14年（1637年）に父の死去を受けて白河藩主に就任。しかし、寛永20年（1643年）に陸奥安達郡、安積郡に移封されて二本松に居城を構え、そこで二本松藩初代藩主となります。この移封は、藩の制度を整備し、城郭の建設や城下町の整備に繋がりました。

彼は単なる大名に留まらず、文化人としてもその名を馳せました。光重は茶道を石州流の流派から学び、その技術を極めました。また、画家としても高名であり、狩野派の画風を取り入れた作品を生み出しました。彼は書道や華道など多岐にわたり深い造詣を持っていました。さらに、高野山や萬福寺の僧侶を招待し、仏教の普及にも力を注ぎました。彼が寄進した「烈祖図」や「十六羅漢図」の作品は、現在も残されています。

万治元年（1658年）には侍従に任命され、延宝6年（1678年）には預かっていた田村郡の幕領を返還し、延宝7年4月7日に嫡子の長次に家督を譲って隠居生活に入ります。この隠居後は、「玉峰」と称して文化活動に専念し、元禄14年（1701年）4月11日に80歳で息を引き取りました。

光重の逸話

光重にまつわる逸話も数多く残されています。彼の息子長次については、光重が美少年を愛するあまり問題を引き起こしたとの記述があり、この関係が息子には見られなかったと言われています。また、光重の小姓である美童を狩野益信が描いた肖像画が、現在でも二本松市の台雲寺に保存されています。

更に、浅野長矩が松の廊下で吉良義央を切りつけた事件に関して、光重はその理由を疑問視し、刀術が基本である丹羽氏の出身として怒りを表しています。この際に煙管で叩いた灰入れが、後に丹羽氏18代当主が発見することとなります。

光重の家族背景にも興味深いものがあります。彼の父は丹羽長重で、実母は側室にあたる竜光院です。正室には安藤重長の娘を迎え、さらに櫛笥隆胤の娘を継室として迎えました。子どもには長次や長之の他、複数の娘もおり、それぞれが他の家の正室となっています。

このように、光重の生涯は文化人としての活動と大名としての責任を果たしながら、多様な人間関係を形成したことが窺えます。

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