久世竜

久世 竜 (くぜ りゅう) の生涯と業績

久世竜（くぜ りゅう）は、日本の殺陣師および俳優として知られる人物であり、1908年1月19日に愛媛県で生まれました。彼の芸能人生は、初めは岬弦太郎（みさき げんたろう）という名前で始まりましたが、その後久世竜に改名しました。彼は1950年代から1980年代にかけて、特に映画において数多くの作品に携わり、観客に深い印象を残しました。

初期の経歴

久世は、叔父が経営する神戸で働いていましたが、仕事を辞めて京都に移り住み、役者を志しました。彼は映画に対する情熱を抱き始め、ライフスタイルを変えることを決意しました。特に自分の目指したい世界を教えてくれたのは、映画監督のマキノ雅弘でした。彼はマキノに師事し、そこから久世は殺陣を学ぶことになります。

1927年、久世は日活に役者として入社し、映画界でのキャリアをスタートしました。当初は斬られ役を主に演じながら、次第に殺陣の技術を磨いていきます。1933年に初めて殺陣をつける機会を得てからは、月形龍之介のために殺陣をつけることが定期的に行われるようになりました。

映画界での活躍

特に注目すべきは、彼が黒澤明監督の作品に参加し、1960年代から70年代にかけて数々の名作で殺陣を担当したことです。『隠し砦の三悪人』や『椿三十郎』など、彼の技術は映画の中で際立っており、斬新かつダイナミックな立ち回りを展開しました。彼の殺陣は、ただのアクションにとどまらず、物語やキャラクターを深く引き立てる要素となっていました。

1960年代には、仲間である三船敏郎からの信頼を受け、三船プロに移って彼に仕えることになります。久世はその後進への指導にも力を入れ、数多くの若手殺陣師を育て上げました。彼に師事した弟子たちも多く、その技術の伝承は今も受け継がれています。

戦後の活動と影響

久世は戦時中の映画業界の変遷を経て、改名した後も活躍し続けました。特に1963年からは、日活や東宝に所属し、多くの映画に出演しながらも、殺陣師としての肩書を持ち続けました。彼の作品は、時代劇を中心に多岐にわたり、忠臣蔵や新選組など日本の歴史を題材にした映画でもその技が光りました。

久世の業績は映画界だけではなく、彼の影響を受けた多くの後進たちによって受け継がれており、日本の映画やテレビドラマにおけるアクションシーンのスタイルに大きな影響を与えました。

晩年

1985年1月5日に亡くなるまで、久世竜の名は日本の映画史にしっかりと刻まれています。彼の創造した殺陣や剣技、そして俳優としての存在は、今日でも多くのファンや映画人に愛され続けています。これからも彼の名作や技術は後世に語り継がれることでしょう。

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