久久比神社

久久比神社について

久久比神社（くくひじんじゃ）は、兵庫県豊岡市下宮に位置する、歴史と自然に囲まれた神社です。式内小社であり、旧社格は村社でした。この神社は、その創建にまつわる興味深い伝説と、美しい建築物で知られています。

祭神

久久比神社の祭神は、木の神である久久能智神（くくのちのかみ）です。この神は、豊かな自然と生命の源を象徴しており、古くから地域の人々に崇敬されてきました。

歴史

久久比神社の本殿は、三間社流造、こけら葺きの構造を持ち、室町時代の永正4年（1507年）に建立されました。この本殿は、その歴史的価値から国の重要文化財に指定されています。江戸時代の記録には、胸形（宗像）大明神とも称されていたことが記されており、多紀理比売命を祀るという説も存在します。このことから、久久比神社は、古代から信仰の対象であったことが伺えます。

コウノトリ伝説

久久比神社の創建には、日本書紀に記されたコウノトリ（当時は鵠と呼ばれていた）の伝説が深く関わっています。垂仁天皇の時代、天皇が誉津別皇子と共にいた際、一羽の鵠が空を鳴き渡りました。皇子がその鳥について尋ねたところ、天皇は喜んで家臣にその鳥を捕らえるよう命じました。天湯河板挙という家臣が、その鳥を追いかけ、出雲国または但馬国で捕らえ、天皇に献上したとされています。この時、皇子は初めて言葉を発したとされ、その霊験から、鵠が棲んでいた地を「久久比」と呼ぶようになったと伝えられています。その後、この地に宮を建て、木の神である「久久能智神」を祀ったのが、久久比神社の始まりとされています。

当時の豊岡盆地は「黄沼前海」という入海であり、下宮の地はその入江の汀でした。その周辺は樹木が繁茂し、神聖な場所であったとされています。この自然の神秘と霊妙さから、人々は木の神を祀り、その御神徳に帰依したと考えられています。

文化財

久久比神社の本殿は、国の重要文化財に指定されています。この本殿は、室町時代の建築様式を今に伝える貴重な文化遺産です。三間社流造という独特の建築様式と、こけら葺きの屋根は、見る者を魅了します。

御守り

久久比神社では、コウノトリをデザインした御守りが人気を集めています。特に、赤、緑、紫の御守りは、子宝や安産を願う人々に広く求められています。これは、コウノトリが子宝を運んでくるという言い伝えに基づいています。また、休耕期には、神社の隣接する湿地にコウノトリが飛来することがあり、その姿を見ることもできます。

アクセス

久久比神社へのアクセスは以下の通りです。

京都丹後鉄道コウノトリの郷駅から徒歩約10分。
山陰本線豊岡駅から全但バス下の宮行きで「下の宮口」下車すぐ。

関連情報

久久比神社は、豊岡市の観光スポットとしても知られており、その歴史と自然が調和した美しい景観は、訪れる人々に癒しを与えています。また、周辺にはコウノトリが観察できる施設もあり、自然観察を楽しむこともできます。

もう一度検索