久保富夫

久保 富夫（くぼ とみお）について

久保富夫は、1908年11月16日に生まれ、1990年3月22日に逝去した日本の卓越した技術者であり経営者である。彼は三菱重工業において航空機の開発を行い、特に大日本帝国陸軍の一〇〇式司令部偵察機では主設計を担当しました。その後、自動車部門に移り、三菱自動車工業の社長、会長、相談役を歴任し、企業の成長に大きく寄与しました。

経歴の詳細

久保は長崎県に生まれ、1931年には東京帝国大学工学部航空学科を卒業し、三菱航空機に入社しました。彼は名古屋製作所で勤務し、同期には堀越二郎がいました。第二次世界大戦後、日本の航空機産業は一時的に停止されていましたが、久保は1946年に水島機器製作所に転任し、1947年に技術部長に就任しました。

1950年の財閥解体に伴い、久保は自動車部門を担当する中日本重工業に異動し、1952年には講和条約の発効により航空機開発が再開されると、名古屋製作所で再びその業務に携わりました。1964年には再編された三菱重工業の常務取締役に任命され、1970年には三菱自動車工業として自動車部門が独立しました。

1973年に久保は三菱自動車工業の取締役社長に就任し、1979年に会長に就任するまで、6年間その職務を果たしました。この期間、彼は自動車販売部門の社長も兼任し、1983年には相談役に移行しました。

技術供与と現代自動車

久保の最大の功績の一つは、1973年から韓国の現代自動車への技術供与である。1970年代初頭、現代自動車はフォードとの関係に課題を抱えており、久保が提供した小型車の生産技術は韓国自動車産業の基礎を築く手助けとなりました。三菱自動車工業は、韓国初の自国生産車の「ヒュンダイ・ポニー」に対してエンジンや変速機の供給を行い、非常に重要な技術的支援を提供しました。

この技術供与が実現した背景には、久保の親韓的な姿勢があったとも言われ、彼の人脈と交渉力が大いに影響したと考えられています。彼の死後22年が経過した2012年、日本経済新聞は、三菱自動車工業が欧州で苦境に立たされる中、現代自動車の成功が彼の業績に対する認識を新たにしたと報じています。

栄典

彼の業績は高く評価され、1974年には藍綬褒章を受章しました。久保富夫は、技術者としての才能だけでなく、ビジネス界におけるリーダーシップも兼ね備えた人物でした。彼の生涯にわたる尽力は、日本の航空機および自動車産業の発展に大いに寄与するものでした。

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