堀越二郎

堀越二郎の生涯と業績

堀越二郎は1903年6月22日に群馬県藤岡市で生まれました。彼は群馬県立藤岡高等学校と第一高等学校を経て、東京帝国大学工学部航空学科を首席で卒業しました。この時期、彼は木村秀政や土井武夫といった後の著名な技術者たちと同級生でした。

三菱重工業での働き

堀越は三菱内燃機製造（現・三菱重工業）に入社し、航空技術の最前線で働くために1年半の間、ヨーロッパやアメリカに派遣されました。1932年には入社5年目で設計主任に昇進し、当時の主流であった複葉機に対抗するため、単葉機の七試艦上戦闘機を設計しましたが、試作機は墜落し不採用となりました。この年、彼は佐々木須磨子と結婚し、その後6人の子供に恵まれました。

1934年には九試単座戦闘機の設計を開始し、空力的な平滑化を重視した革新的なデザインを取り入れました。この試験機は、1935年に日本海軍初の全金属単葉戦闘機、九六式艦上戦闘機として採用されることになります。

零式艦上戦闘機の誕生

1937年からは十二試艦上戦闘機、後の零式艦上戦闘機（零戦）の設計に着手しました。海軍から要求された高い性能に苦しむ中、堀越は「格闘性能、航続力、速度のうち、どれを優先するべきか」と問います。意見が対立する中、彼は両方の期待に応えようと決意しました。堀越は防弾装備について、「戦闘機には優先順位があり、防弾がなかったのは当然」と回顧しています。その後、彼は技術部第二設計課長として雷電や烈風の設計にも携わりましたが、その後の開発は他の課に移ることが多かったようです。

戦後の活動

戦後、堀越は木村秀政とともにYS-11の設計に参加しました。参画した新三菱重工業では参与の地位についていました。1963年から1965年にかけては東京大学宇宙航空研究所で講師を務め、1965年には工学博士の学位を取得しました。その後、防衛大学校や日本大学でも教授として教育に従事しました。また、1966年の英国海外航空機空中分解事故や1971年のばんだい号墜落事故では事故調査委員会のメンバーとして原因究明に努力しました。

1973年には勲三等旭日中綬章を受賞し、1982年1月11日に78歳で逝去しました。彼の死は世界のニュースに報じられ、多くの人々にその業績が広まることとなります。

堀越二郎に関する著作

堀越は自身の経験を記録した著作も多数残しています。代表作には『零戦――その誕生と栄光の記録』や『零戦の遺産――設計主務者が綴る名機の素顔』などがあり、零戦に関する貴重な情報が詰まっています。また、漫画や映画など、多くのメディアで彼の業績が取り上げられています。彼の生涯は、日本の航空機産業の発展に多大な影響を与え、後世に語り継がれることとなるでしょう。

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