久保道正

久保 道正（くぼ みちまさ）について

久保道正は、1918年3月16日に広島県広島市で誕生し、1992年6月28日に亡くなった実業家です。彼は第一産業（現在のエディオン）の創業者として知られ、特に戦後の家電業界において大きな影響を与えました。

早年の背景

久保家は長い歴史を持つ刀剣商であり、彼自身もその家系に生まれました。久保道正は、旧制広島一中（現・広島国泰寺高等学校）に在籍中、手術ミスが原因で左足に障害を持つこととなりますが、この不運が彼を兵役から免れるきっかけとなります。

1945年、彼は広島市住吉町の新居で被爆し、爆風で倒壊した家の下敷きになりましたが、奇跡的に救出されました。この経験が、彼の今後の活動に強い影響を与えました。

起業の道

久保は戦後の1946年に弟と共に「久保兄弟電気商会」を設立しました。彼は当時の厳しい状況を乗り越えるべく、リュックサックを背負いながら、東京や大阪で商品を仕入れ、広島市内の闇市に電気製品を卸して回りました。この経験は後のビジネスモデルの基礎となりました。

1947年には「第一産業株式会社」として法人化し、ラジオ部品を中心の卸売業に転換します。電気メーカーから大量生産の時代が来るとアドバイスを受け、1957年には卸売から家電製品の小売に方向転換しました。

家電業界における功績

第一産業は彼のリーダーシップの下で、低価格での家電販売を業界に先駆けて行いました。これは業界内で強い反発を招きましたが、逆にメディアの注目を集め、「低物価政策の第一産業」として広く知られることになりました。

1977年には店舗名を「ダイイチ」に統一し、顧客第一主義を掲げて急成長を遂げました。1979年には広島商工会議所の会頭に就任し、1980年からはフランチャイズ方式のチェーン展開を始めます。1990年には東京証券取引所の第一部に上場し、その名を広めました。

社会貢献と受賞歴

久保道正は、1987年に創業40周年を迎えた際、広島県のスポーツ振興に寄与するために「久保スポーツ振興基金」を設立しました。また、1988年には勲三等瑞宝章を受章し、彼のビジネスに対する貢献が社会に認められました。

著作

彼はまた、著書を通じてその経験や知識を広めました。1987年には『蓮の花は泥水にしか咲かない』、1991年には『家電製品に見る暮らしの戦後史』を出版しています。

久保道正の生涯は、戦災を乗り越えた復興と成長、そして社会貢献を重視した実業家の生き様を示しています。彼の影響は、現在でも多くの人々にとっていいお手本となっているのです。

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