久喜の提灯祭り・天王様

久喜の提灯祭り・天王様

久喜の提灯祭り・天王様は、埼玉県久喜市に鎮座する八雲神社の例祭です。旧久喜町の鎮守として、毎年7月12日から18日にかけて開催されます。特に山車が曳き廻される12日と18日は、祭りの highlight と言えるでしょう。

天明の大噴火と祭りの起源

祭りの日程には、歴史的な背景があります。天明3年（1783年）の浅間山大噴火が発生した7月8日の10日後、7月18日に祭りが執り行われるようになったと伝えられています。この大噴火により、桑をはじめとする農作物が甚大な被害を受けました。そのため、宮本家の氏神である愛宕様の山車を借りて曳き回し、豊作を祈願したのが祭りの始まりとされています。また、流行病の鎮静を願って始まったという説もあります。

久喜市指定無形民俗文化財

祭りの山車行事は「久喜八雲神社の山車行事」として、平成16年（2004年）4月1日に久喜市無形民俗文化財に指定されています。地域に根付いた貴重な文化として、大切に保存・継承されています。祭りの様子は千勝神社の絵額にも記録されており、明治20年代後半には特に盛り上がりを見せていたことが伺えます。

絢爛豪華な山車

祭りの main event は、8町内から繰り出される8台の山車です。これらの山車は廻り舞台形式の屋台形山車で、各町内ほぼ同様の形態をしています。昼間は、伝説や歴史上の人物の人形を山車の上に飾り付け、町内を練り歩きます。人形は精巧に作られており、見物客を魅了します。

夜間になると、山車は装いを一変させます。人形を取り外し、山車の四面に四百数十個もの提灯を飾り付けた提灯山車へと姿を変えます。提灯の灯りが幻想的な雰囲気を醸し出し、その美しさは「関東一」とも称されます。現在でも提灯の光源にはろうそくが使用されており、温かみのある光が祭りを彩ります。

喧嘩祭りとしての側面と現在

久喜の提灯祭りには、かつて喧嘩祭りとしての側面がありました。山車同士を勇ましくぶつけ合い、各町内の繁栄を競い合っていたのです。現在では、山車を激しくぶつけ合うことはありませんが、山車を急接近させたり、軽くぶつけたりする様子も見られます。祭りの熱気を肌で感じることができるでしょう。

会場とアクセス

八雲神社の祭礼であるものの、神社自体が久喜駅西口至近に位置するため、事実上、久喜駅西口周辺が会場となります。祭りの最後には、各町内の山車が久喜駅西口に集結し、祭りは最高潮を迎えます。また、旧市街地を通る久喜駅前通り（県道六万部久喜停車場線旧道）には「提灯祭り通り」という愛称が付けられています。

久喜東地区と氏子

東町については久喜駅東口地区のうち、旧久喜町下村分（現在の久喜東1丁目・5丁目付近）・太田村・江面村を含み、この下村分が「東一」となり、氏子となっています。

久喜の提灯祭り・天王様は、歴史と伝統が息づく、見応えのある祭りです。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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