豊作

豊作とは

豊作とは、農作物の収穫量が平年よりも多い状態を指します。豊作の年は「豊年」と呼ばれ、特に穀物が豊作の場合は「満作」と表現されることもあります。反対に、収穫量が少ない場合は「不作」または「凶作」と呼ばれます。

豊作は、気候条件や土壌の状態が農作物にとって理想的な状態で推移した場合に起こりやすくなります。しかし、ある農作物にとって理想的な気候条件が、他の農作物にとっても理想的とは限らないため、特定の農作物が豊作になっても、別の農作物が不作になることもあります。そのため、豊作となる農作物は年や地域によって異なります。

近年では、ハウス栽培など気候要素を管理できる農作物も増えてきました。このような農作物においては、ある程度の需給調整が可能になっているため、一般的には天候に左右されやすい農作物に限定して豊作・不作という言葉が使われることが多いです。

豊作祈願

歴史的に、農業は社会の基盤であり、豊作は非常に重要なものでした。近世以前の日本では、農民は収穫した農作物の一部を年貢や税として納める必要がありました。そのため、豊作は税の比率を下げ、農民の手取りを増やすことに繋がるため、非常に喜ばしいものでした。このような背景から、豊作にご利益があるとされる神への信仰が生まれ、日本では五穀豊穣にご利益があるとされる神社が各地に存在します。童謡『村祭り』では、鎮守の神に豊作を感謝する祭りの様子が歌われています。

豊作貧乏

豊作は必ずしも良いことばかりではありません。豊作が過剰になると、市場に農作物が溢れ、需要に対して供給が過多になり、価格が下落することがあります。この現象は「豊作貧乏」と呼ばれ、特に近年、物流が発達したことで、遠隔地への流通が容易になったため、豊作が必ずしも生産者にとって喜ばしいものではなくなっています。

価格が下がりすぎると、流通コストなどを考慮すると利益が出せなくなるため、品質が劣る農作物を加工用原料に回したり、販売せずに廃棄したりすることもあります。これらの廃棄には、凶作に備えて多めに生産する背景や、廃棄せずに販売すると価格が下落を続け、農家の経営を圧迫してしまうという理由があります。

実際に、2005年には北海道北見地方でタマネギが豊作となり、生産調整のために廃棄が行われました。また、2006年には愛知県の渥美半島でキャベツ、大根、白菜が大豊作となり、出荷価格が大幅に下落したため、生産調整が行われました。全国的には、2006年にはタマネギやレタスも大豊作となり、廃棄量は約2万2000トンにも上りました。これらの廃棄処分は、農業協同組合が農林水産省に届け出て、緊急需給調整として認められた上で行われ、協力した大規模農家には交付金が支給されます。その費用は、農家の積立金と税金で賄われます。

豊作は、農業における重要なテーマであり、その影響は経済、社会、文化にも及びます。豊作の恩恵を最大限に活かし、持続可能な農業を実現するためには、生産者、消費者、政府が一体となって取り組む必要があるでしょう。

関連項目

大漁
成り木責め - 世界的に見られる果樹の豊作を祈願する儀式。

外部リンク

* キャベツの緊急需給調整について - 農林水産省

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