久昌寺 (江南市)

久昌寺の歴史と文化

久昌寺（きゅうしょうじ）は、愛知県江南市田代町に位置していた寺院で、かつて生駒氏の菩提寺として多くの人々に知られていました。その歴史は1384年に遡り、当初は禅喜寺として創建され、その後龍徳寺という名前に改称されていました。この寺院は生駒氏との深い関わりがあり、特に織田信長の側室、生駒吉乃がこの寺にまつられたことで知られています。

生駒氏との歴史的背景

生駒氏は大和から移住した際、久昌寺を菩提寺として定めました。1566年、吉乃が病で亡くなった際には、「久庵桂昌大禅定尼」という法名と共にこの寺に埋葬され、そのことから寺号が久昌寺に変わりました。信長はこの寺に660石の香華料を寄進し、その後の発展を支えました。寺の境内には吉乃の墓を含む生駒氏代々の墓が存在し、これらは2013年に江南市の指定史跡に認定されています。

江戸時代の久昌寺

江戸時代には、法座を開いた豪潮律師が久昌寺を訪れました。彼は、鎌倉時代から伝わる『十六羅漢像』の掛軸が欠けていることに気付いた。足りない四幅を新たに描き上げ、完全な形の十六羅漢を完成させたその作品は、後に久昌寺から鶴見の總持寺へ寄進されました。これらの掛軸は現在、重要文化財として位置付けられています。

寺院の廃寺とその後

しかし、2021年には伽藍の老朽化や檀家の減少が影響し、宗教法人の解散が決まりました。2023年8月、法人登記記録は閉鎖されたものの、吉乃を始めとする生駒家の墓は残されることとなります。跡地は2022年5月から解体され、市に売却された後、2023年度には公園として整備される予定です。また、旧本尊や吉乃を弔うための小堂が新たに建設される計画も進行中です。

建築と文化財

本堂は1925年に建立されており、屋敷の一部である庫裏については江戸時代の建築と考えられています。久昌寺の境内や墓地には、江南市の指定史跡として認定された生駒家の石造物の群れが存在し、地域の文化遺産としての重要な役割を果たしています。

これらの背景を知ることで、久昌寺は単なる廃寺ではなく、歴史と文化が詰まった特別な場所であることが明確に感じられます。今後もこの地に残る歴史を見守ることが必要です。

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