久松五勇士

久松五勇士について

久松五勇士（ひさまつごゆうし）は、日露戦争の際に、日本海海戦前にバルチック艦隊の情報を宮古島から石垣島に伝えた5人の漁師たちの名です。この出来事は、彼らの勇敢な行動により、多くの人々に知られることとなりました。

バルチック艦隊の発見

1905年5月、ロシア海軍のバルチック艦隊は、欧州から極東へ向けての航海を経て日本近海に接近していました。その中で、5月22日午前10時ごろ、那覇から宮古島に向かっていたマーラン船「宮城丸」が宮古島沖でバルチック艦隊に出会います。この艦隊は宮城丸を攻撃することなく、北東に去っていきました。

奥浜牛（おくはま うし）ら6人は、艦隊を発見後、急いで宮古島の警察所に通報するため、翌25日に漲水港に到着しました。彼らは、敵艦隊を発見した際の報告が求められていたため、その情報を急いで伝える必要がありました。

久松五勇士の結成

報告を受けた橋口軍六島司は、緊急会議を開くものの、当時宮古島には電信設備がなかったため、石垣島の電信局へ情報を伝えるための人手が必要となりました。そこで、地元の漁師の中から松原の区長・垣花善（かきのはな ぜん）らが選ばれ、仲間の清、与那覇松・蒲兄弟、与那覇蒲と共に5人で急な任務にあたることに決まりました。

彼らは26日早朝に出発し、荒れた海を必死に漕ぎ進んで石垣島へ到着。そこで、夜遅くまでかかって八重山電信局に飛び込むと、バルチック艦隊の発見を報告しました。この情報は「40隻あまり」と、ほぼ正確なものでした。

後の顕彰運動

大正時代に入ると、沖縄県師範学校の稲垣国三郎がこの出来事に感銘を受け、彼らを広く知らしめるための活動を始めます。1935年には、宮古郡教育部会の呼びかけにより、献納式が行われ、彼らの行動が全国的に認識されるようになりました。

現存する記憶と評価

久松五勇士の物語は時の流れの中で忘れ去られることなく、特に宮古島や石垣島では、彼らは今でも郷土の英雄として尊敬されています。1966年には、宮古島に記念のモニュメントが建立され、毎年の記念事業も行われています。また、様々なメディアや商品にも彼らの名が取り入れられ、地域の文化としての認知度が高まっています。

このように、久松五勇士の勇気ある行動は、ただの歴史の一ページとしてではなく、今もなお地域に根付いた伝説として語り継がれているのです。

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