久津見蕨村

久津見蕨村（くつみ けっそん）は、安政7年1月14日（1860年2月5日）に江戸で生まれ、大正14年（1925年）8月7日に没した、日本のジャーナリスト、評論家です。本名は息忠（おきただ）といい、暮村隠士（ぼそんいんし）、醯鶏学人（けいけいがくじん）の号も用いました。

生涯

江戸の幕臣の家に生まれた久津見蕨村は、ほぼ独学で文筆家としての道を切り開きました。その才能は早くから開花し、明治30年（1897年）には「萬朝報」に入社。その後、「東京毎日新聞」に移り、主筆としてその辣腕を振るいました。ジャーナリストとしての活動の傍ら、評論家としても多岐にわたる分野で活躍し、社会の諸問題に対して鋭い視点で考察を加えました。

著書

久津見蕨村は、その生涯で数多くの著作を刊行しました。その内容は、宗教、教育、社会思想など多岐にわたり、彼の幅広い関心と深い知識を伺い知ることができます。

『耶蘇教衝突論』（中外堂、1893年）: キリスト教と日本の伝統文化との衝突について論じた書。
『児童研究』（三育舎、1897年）: 当時の児童教育に関する考察をまとめたもの。
『世界之十大宗教』（普及舎、1897年）: 世界の主要な宗教を比較研究した書。
『教育時代観』（右文館、1899年）: 教育のあり方について、時代背景を踏まえながら論じたもの。
『実地応用小教育学』（三育舎、1899年）: 実践的な教育方法について解説した書。
『立身達志　独学自修策』（三育舎、1902年）: 独学で自己を向上させるための方法論を説いたもの。
『無政府主義』（平民書房、1906年）: 無政府主義思想について論じた書。
『現代八面鋒』（丙午出版社、1912年）: 当時の社会情勢を多角的に分析した評論集。
『ニイチヱ』（丙午出版社、1914年）: 哲学者ニーチェの思想について論じた書。
『自由思想』（文明者、1914年）: 自由思想について論じたもの。

これらの著書は、当時の社会や文化に対する彼の深い洞察と、幅広い知識を示しています。

参考文献

古林亀治郎編『現代人名辞典』中央通信社、1912年。
文学美術研究会編『古今文学美術人名辞書』近代文芸社、1932年。
* 『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ、2004年。

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