安政

安政（あんせい）

安政は、日本の元号の一つで、嘉永の後、万延の前に位置します。この元号は1855年から1860年までの期間を示し、大化以降で223番目、239個目の元号となります。この時代の天皇は孝明天皇、江戸幕府の将軍は徳川家定と徳川家茂でした。

改元の背景

安政の改元は、嘉永7年11月27日（グレゴリオ暦 1855年 1月15日）に行われました。これは内裏炎上や地震、さらには黒船来航などの災害が重なったことによるものです。改元の際、朝廷は「文長」という元号を希望していましたが、幕府の介入により「安政」に変更され、改元の日も前将軍徳川家慶の月法要（毎月22日）終了後に変更されました。

出典

「庶民安政、然後君子安位矣」という言葉が『群書治要』巻38に見られます。これは、庶民の生活が安定していれば、統治者の地位も安定すると解釈されます。

安政年間の出来事

安政の時代には、特に多くの地震が発生しました。安政伊賀地震や安政東海地震、安政南海地震、豊予海峡地震などがありましたが、一部は改元前の嘉永7年に発生しています。このため、これらの地震は本来「嘉永の大地震」とされるべきだという意見もあります。

さらに、この時期は江戸幕府の崩壊につながる重要な事件が多く発生しました。例えば、安政5年には安政の大獄、安政7年には桜田門外の変があり、これらは幕末の重要な転換点として知られています。

年ごとの主な出来事

- 嘉永7年/安政元年（1854年 – 1855年） には、ペリーが江戸湾に再来し、日米和親条約が締結されるなど、国際的な動きが活発でした。しかし、内裏の火災や大地震が相次ぎ、特に安政東海地震では津波による被害が報告されています。

- 安政2年（1855年） では、安政内裏の再建が行われ、また飛騨地震や江戸地震が発生します。

- 安政3年（1856年） では、ハリスが下田に着任し、通貨の交換率などの交渉が始まりました。

- 安政4年（1857年） には、甲府で博徒の争いが発生し、その結果博徒の三井卯吉が死亡しました。

- 安政5年（1858年） では、福沢諭吉が蘭学塾を創立し、日米修好通商条約に対する反対が激化し、安政の大獄が始まりました。

- 安政6年（1859年） では、横浜港が開港し、経済面でも大きな変化がありました。

- 安政7年（1860年） では、歌舞伎『三人吉三廓初買』の初演や、大老井伊直弼の暗殺が起こり、幕府の政治は一層不安定になります。

有名な人物の誕生と死

この期間には、犬養毅、原敬、斎藤実などの著名な政治家が誕生しました。一方で、井伊直弼を含む多くの政治的な暗殺や死去があり、特に安政の大獄で多くの命が奪われました。

まとめ

安政の時代は、自然災害や政治の混乱が重なり、江戸幕府の終焉へつながる重要な時期でした。数々の出来事が日本の歴史に大きな影響を与え、その後の明治維新への布石となったのです。

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