久田信行

久田 信行（ひさた のぶゆき）は、1949年5月に鹿児島県で生まれた日本の心理学者です。長年にわたり、障害を持つ子どもたちの心理や教育に関する研究と実践に貢献してきました。

来歴と学歴

久田氏は、1973年3月に鹿児島大学法文学部で心理学を専攻し卒業しました。さらに学びを深めるため、九州大学大学院教育学研究科へ進学し、教育心理学を専攻。1978年3月に単位取得満期退学しています。この大学院での研究活動が、その後の専門分野の確立に大きく影響を与えました。

職歴

研究者としてのキャリアにおいて、久田氏は教育機関で重要な役割を担ってきました。特に、群馬大学教育学部学校教育教員養成講座の障害児教育専攻で長きにわたり教授として教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。現在は、群馬医療福祉大学社会福祉学部の特任教授として、その豊富な知識と経験を活かした教育活動を行っています。

専門分野

久田氏の主要な研究分野は、障害児心理学、特に障害児教育における心理的側面、そして教育動作学です。子どもたちの発達支援において、身体の動きと心の状態の関連性を重視する「動作法」と呼ばれるアプローチに深く関わり、この分野の研究と普及に貢献してきました。

主な業績

久田氏は、専門分野に関する多くの著書や論文を発表しています。代表的な著書には、心理リハビリテーションの初期段階から関わったことを示す『動作訓練入門』（1976年）、『心理リハビリテイションの進歩』（1979年）があります。また、障害児教育や保育の実践に関するものとして、『入門障害児保育の原理』（1981年）、『障害児指導の方法』（1990年）を執筆しました。発達障害を持つ子どもたちの臨床に焦点を当てた『発達障害児の心理臨床』（1985年）や、療育訓練に関する『発達障害療育訓練ハンドブック』シリーズ（1988年、1990年）も重要な著作です。

特に「動作法」については、研究書から実践書まで幅広く手掛けており、『障害児のための動作法』（1984年）、『教育臨床動作法』（1992年）、『実験動作学』（2000年）、そして集大成ともいえる『障害動作法』（2002年）などがあります。これらの著作を通じて、動作と心、発達障害児の理解と支援に関する知見を学界や教育・福祉現場に広く提供しました。

論文においても、障害児の行動分析や親子関係への援助、医療系教育における臨床実習指導など、多岐にわたるテーマで研究成果を発表しています。国立特殊教育総合研究所の研究紀要や群馬大学教育学部紀要などに論文が掲載されています。

所属学会

専門分野の発展に寄与するため、久田氏は複数の学会に所属しています。これには、日本特殊教育学会、日本心理学会、日本リハビリテイション心理学会、日本心理臨床学会などが含まれており、各学会での活動を通じて、研究成果の発表や他の研究者との交流を行っています。

まとめ

久田信行氏は、日本の障害児心理学および教育動作学の分野において、教育、研究、著作活動を通じて顕著な貢献をしてきました。特に動作法に関する深い専門知識と実践に基づいた活動は、障害を持つ人々の理解と支援の進展に寄与しています。

もう一度検索