久米三四郎

久米三四郎の足跡

久米三四郎（くめ さんしろう）は、1926年3月22日に大阪府で生まれた核化学者であり、2009年8月31日に83歳で亡くなるまで、国内外で多岐にわたる影響を与えてきました。彼の経歴や活動は、特に原子力に対する意見を形作る上で重要でした。

学歴とキャリア

久米は旧制大阪府立高津中学校を卒業後、旧制高知高等学校に進学し、さらに大阪帝国大学を卒業しました。学業を終えた彼は製薬会社での勤務を経て、大阪大学理学部で講師としての道を歩み始めました。彼の専門知識を武器に、年々、原子力に対する意識が高まる中で、反原発運動にも積極的に関わることとなります。

反原発運動への関与

久米は全国各地での講演活動を行い、反原発運動全国連絡会の創設に寄与しました。『はんげんぱつ新聞』の発行にも関わり、原子力発電の危険性を広く知らせるための情報発信に努めました。1980年代には原発の安全性が疑問視される中、彼は反原発の声を勇敢に上げ続けることを選択しました。

重要な法廷活動

彼の活動の中でも特に注目されたのは、1973年に起こった四国電力の伊方原子力発電所に関する訴訟です。この訴訟では、原発の設置許可の取り消しを求める原告側の補佐人として活動しました。久米は地域住民の権利を代弁し、原発の安全性に関する懸念を法廷で訴えました。

さらに、もんじゅ訴訟においても原告側の特別保佐人として、その合理的な議論を展開しました。高速増殖炉もんじゅに対する彼の立場は、原発の持つリスクを多くの人々に問い直す重要なものでした。これらの訴訟を通じて、彼は原発の危険性を具体的に提示し、その運用の透明性を求めました。

著作活動

久米は自身の考えや経験を反映させた著書を多数書き残しています。

• - 単著

- 『ソ連・原発事故あなたの不安にお答えする相談室』(1986年)
- 『科学としての反原発』(2010年)

• - 共著

- 『原発の安全上欠陥』(1979年)
- 『知ればなっとく脱原発』(2002年)
- 『希望の未来へ 市民科学者・高木仁三郎の生き方』(2004年)

これらの著書は、専門的な視点から一般市民に向けて原発問題を解説し、多くの読者に支持されています。特に、反原発の視点からの情報提供は、多くの人々の意識を高め、議論を促す助けとなったと言えるでしょう。

まとめ

久米三四郎は、日本における反原発運動の重要な一翼を担った存在です。彼の活動や著作は、原子力に対する視点を深め、多くの人々に影響を与え続けています。83年の生涯の中で、彼の声や考えは、後の世代にも受け継がれていくことでしょう。

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