もんじゅ

高速増殖原型炉もんじゅ

概要

もんじゅは、日本の福井県敦賀市に設置された高速増殖炉で、日本原子力研究開発機構が管理し、文部科学省の監督下にあります。主にMOX燃料（プルトニウム・ウラン混合酸化物）を使用し、消費以上の燃料を生成する能力を持つ、つまり、燃料を増殖する特性があります。この炉は、高速実験炉「常陽」のデータを基にした原型炉であり、日本国内では2つ目の高速増殖炉として位置付けられています。

目的と背景

もんじゅの設計と稼働の主な目的は、高速増殖炉技術の実用化及び商業化に貢献することであり、そのプロセスを通じて発電性能、安全性、信頼性の実証を目指しています。さらに、生成される中性子を利用した核変換技術なども研究が行われており、核燃料サイクルの一環として開発が進められています。

歴史的経緯

もんじゅは1967年に設立された動力炉・核燃料開発事業団（動燃）によって1970年に建設候補地が選定され、1985年には本体工事が始まります。1994年には臨界に達し、1995年には試運転を開始しましたが、その後のナトリウム漏洩事故や、その隠蔽による問題が発生し、運転は長期間にわたり停止します。

2007年以降、運転再開に向けた工事は完了しますが、2010年にまた別の事故が発生し、これがもんじゅの運営にさらなる負の影響をもたらしました。最終的に、2016年には廃炉の決定が下され、その後も廃炉作業が進められています。

名称の由来

もんじゅの名前は仏教の文殊菩薩から由来しています。この名称には、知恵と慈悲の象徴として、巨大な力を持つものが人類に役立つようにとの願いが込められています。名前の考案者は当時の動燃副理事長であり、その発案には仏教学の専門家たちとの議論があったことが明らかになっています。

設備と仕様

もんじゅは、他の発電所と連携しながら運用され、次のような特性を持っています。

- 燃料の種類: MOX燃料
- 冷却材: 金属ナトリウム
- 熱効率: 39%

これらの仕様は、もんじゅの技術的特性を示すものであり、冷却にナトリウムを使用することで高い効率が確保されています。実際には、冷却材の温度管理が非常に重要であり、事故防止のための管理体制も必要です。

廃炉作業と今後の計画

もんじゅの廃炉作業は、現在も進行中です。2022年度までの計画には、原子炉からの燃料の取り出しや、冷却材であるナトリウムの抜き出しが含まれています。廃炉作業は4段階に分かれており、2047年度末までの完了を見込んでいます。

もんじゅに対する批判

もんじゅに対しては、安全性についての多くの批判がありました。事故やトラブルの背景にある管理体制の問題が指摘されるとともに、核燃料が生成される特性は、軍事転用が可能であるとの懸念を生んできました。

まとめ

もんじゅは、高速増殖炉技術の研究と核燃料サイクルの一環として重要な役割を担っていますが、運営の複雑さや過去の事故により数々の問題点とも向き合っています。現在の廃炉作業の進展と共に、今後のエネルギー政策における役割が注目されています。

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