久野寧

久野 寧（くの やす）：日本の生理学者

久野寧（くの やす）は、1882年3月30日に愛知県名古屋市で生まれ、1977年12月30日に他界した日本の著名な生理学者です。彼は発汗と体温調節に関する研究で広く知られており、その業績は国際的にも評価されています。日本学士院の会員であり、文化勲章の受賞者でもあります。彼の長男である久野洋も化学者として名を馳せ、慶應義塾大学の学長を務めました。

学歴とキャリアのスタート

久野は1903年に愛知県立医学専門学校を卒業しました。1911年には南満医学堂（後の満州医科大学）の教授に就任し、その後、1913年にはドイツとイギリスに留学しました。1937年からは名古屋医科大学の教授を務め、1939年には同大学が帝国大学に改組された際に名古屋帝国大学医学部の教授となりました。彼の研究は、主に1920年ごろから始まった発汗に関するもので、1941年には「人体発汗の研究」で日本学士院賞を受賞しました。

戦後の活動とビタミン研究

戦後、久野は名古屋大学医学部の教授として活躍し、1955年に定年退官した後も1956年から1963年まで三重県立医科大学（現在の三重大学医学部）で教授として教鞭を執りました。彼の業績は、発汗の研究だけでなく、ビタミンの研究にも大きな影響を与えました。1944年にはビタミンB研究委員会の初代委員長を20年間務め、1949年には日本ビタミン学会の初代理事長に就任しました。1955年までこの職を務め、さらに1963年にはビタミンB協会（後にビタミン協会）を設立し、1978年まで会長職を務めました。

名誉と記念

久野の業績は高く評価されており、戦後の日本の生理学研究の発展に大きく寄与しました。彼の功績を称えて、南極には彼の名前を冠した久野岬（Kuno Point）という岬があります。彼の研究は、医学と生理学の分野における多くの基礎知識を確立するのに貢献しており、現在もその重要性は認識されています。

著書

彼の著書には、『熱帯生活問題』(1943年、石書房)、『汗』(1946年、養徳社)、『気候と人生』(1949年、創元社）、『汗の話』(1963年、光生館)があります。これらの著作は、久野の研究成果を広めると共に、一般の人々にも生理学的な知識を理解する手助けとなっています。

久野寧の生涯と業績は、日本の医学における重要な一章を成しており、彼の研究は今でも多くの研究者たちに影響を与え続けています。

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