久野恒一

久野恒一氏の生涯と功績

久野 恒一（くの こういち）氏は、昭和11年（1936年）11月2日に茨城県多賀郡河原子町（現在の多賀町を経て日立市の一部）に生を受けました。医師としての道を歩み始め、後に政治家としても活躍し、参議院議員や厚生労働大臣政務官などを歴任しました。平成14年（2002年）10月17日に65歳で逝去されるまで、医療と福祉、そして国政の場でその手腕を発揮しました。

医師としての歩み

久野氏は、昭和38年（1963年）に千葉大学医学部を卒業後、医学の道をさらに深めるため大学院へ進学し、昭和43年（1968年）3月に課程を修了しました。同年6月からは千葉大学小見川中央病院外科にて医師としての第一歩を踏み出し、翌昭和44年（1969年）4月には県西総合病院外科で経験を積みました。その後、昭和46年（1971年）4月からは千葉大学医学部脳神経外科教室に勤務し、専門性を高めました。

臨床経験を重ねた後、久野氏は昭和54年（1979年）7月に協和中央病院を開設し、地域医療の充実に力を注ぎました。さらに医療提供体制の基盤を固めるため、昭和56年（1981年）2月には医療法人恒貴会を設立し、その理事長に就任。また、福祉分野においても貢献하고자、昭和58年（1983年）8月には社会福祉法人恒徳会を立ち上げ、こちらも理事長として指揮を執りました。医師、病院経営者、そして法人理事長として、地域における医療と福祉サービスの向上に尽力しました。

政治家としての活動

地域社会への貢献という志は、久野氏を政治の世界へと導きました。平成3年（1991年）1月、茨城県議会議員選挙に挑戦し、初当選を果たしました。県政の場で活躍した後、平成7年（1995年）1月には再選され、2期にわたり県民のために尽くしました。

県議会議員として実績を積んだ久野氏は、国政への進出を決意。平成10年（1998年）7月に行われた第18回参議院議員通常選挙において、自由民主党の公認候補として茨城県選挙区から立候補し、見事に初当選を果たしました。参議院議員としての任期中、特に医療や福祉に関する分野でその専門知識と経験を活かしました。平成11年（1999年）8月には参議院国民福祉委員会委員に就任し、国の社会保障政策について議論を重ねました。また、党務においても重要な役割を担い、平成12年（2000年）12月には参議院自由民主党国会対策委員会副委員長に就任し、国会運営における党の方針決定に関わりました。

さらに、平成13年（2001年）8月には裁判官訴追委員予備員に選ばれ、公正な司法制度の維持にも関与しました。そして同年9月、第1次小泉内閣において厚生労働大臣政務官に就任。医師として、また医療・福祉法人の運営者としての豊富な経験を生かし、国の厚生労働政策の推進に中心的な役割を果たしました。この役職は、久野氏が長年培ってきた医療・福祉分野の専門知識を最も国政に還元できる場であったと言えるでしょう。

晩年と逝去

厚生労働大臣政務官を退任後も、久野氏は精力的に活動を続けていましたが、平成14年（2002年）10月17日、急性心不全のため、慶應義塾大学病院にて惜しまれつつもその生涯を閉じました。享年65歳でした。長年の医療・福祉分野への貢献、そして政治家としての功績に対し、死没日付をもって正五位勲三等に叙されました。

久野恒一氏は、医師として地域医療・福祉の基盤を築き、そして政治家として国政の場でその経験を活かし、特に厚生労働行政において重要な役割を果たした人物です。その生涯は、地域と国家、そして医療と政治という異なる分野を結びつけ、社会に貢献した軌跡として記憶されています。

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