乗越入道

乗越入道（のりこしにゅうどう）は、岩手県の遠野地方を中心として語り継がれている妖怪です。柳田國男の『遠野物語拾遺』では「ノリコシ」という名で記録されています。

その姿は、まるで影のようだと表現されます。出会いの際、最初は小さな坊主頭のような姿で現れることが多いようです。しかし、その姿をよく見ようとすればするほど、みるみるうちに巨大化していくと伝えられています。最終的には、家の屋根を乗り越してしまうほどの大きさになると言われています。

乗越入道に遭遇してしまった際には、いくつかの対処法が存在します。一つは、相手よりも高い位置から、頭のてっぺんから足元へ見下ろすようにすることです。そうすることで、乗越入道は消滅するとされています。また、見越し入道など、同様の特徴を持つ妖怪と同様に、「乗越入道、見抜いた」と唱えることでも、姿を消してしまうと言われています。

山田野理夫の著書『東北怪談の旅』では、岩手県和賀地方の妖怪として紹介されています。花巻温泉の旅館で、小さな子供のような影が現れ、それが徐々に背を伸ばしていくという話が語られています。これは、乗越入道の性質をよく表していると言えるでしょう。

乗越入道は、人々の好奇心や恐怖心につけ込んで大きくなる妖怪なのかもしれません。しかし、冷静に見抜くことで、その力を無効化できるという教訓も含まれていると考えられます。

関連項目

* 日本の妖怪一覧

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