乙女山古墳

乙女山古墳について

乙女山古墳は、奈良県北葛城郡に位置する大型の古墳です。この古墳は、特にその帆立貝形のデザインが特徴的で、奈良盆地の西側を形成する馬見丘陵の東斜面に広がる馬見古墳群の一部です。標高70〜80メートルのこの地域では、古墳群が多数存在しており、乙女山古墳はその中でも際立った存在です。

古墳の概要

1986年12月から1987年2月にかけて行われた発掘調査では、多くの重要な情報が得られました。これにより、乙女山古墳の築造時期は5世紀前半にさかのぼると考えられています。1956年には、国の史跡として指定され、文化財保護の対象となっています。

規模と形状

乙女山古墳の全長は約130メートルで、後円部は直径約104メートル、高さは約14.7メートルを誇ります。前方部は長さ約30メートル、幅約52メートル、高さ約3.5メートルとなっています。また、後円部の西側には、長さ約11メートル、幅23メートルの造り出しがあります。周囲には水濠が設けられ、前方部側は広めに、後円部側は狭めに作られています。後円部は3段に築かれており、下の段は低い緩やかな傾斜で、最上段は急斜面を持つ独特の形状です。葺き石は各段の斜面に施されており、細部までこだわった構造が見受けられます。

副葬品と埋葬施設

後円部の埋葬施設については詳細が不明ですが、良質の粘土が点在することから、粘土槨が利用された可能性が指摘されています。出土品には刀子や勾玉、臼玉などの滑石製の模造品が含まれています。また、造り出し部の発掘からは、葺き石や礫、その外側に円筒形の埴輪列、さらに家形埴輪や楕円形の円筒埴輪が確認されています。

文化的意義

乙女山古墳は、その独自の構造や出土品から、当時の人々の信仰観や社会構造を知るための貴重な考古学的証拠とされています。この古墳を通して、古代奈良の歴史や文化についてさらに深く理解する手がかりが得られます。

このように、乙女山古墳はただの塚としての役割を超え、その周辺地域の歴史を語る重要な資産であると言えるのです。今後も多くの研究が期待される古墳であり、訪れる人々にとっても興味深いスポットです。

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