乙巳士禍

乙巳士禍 (いっししか、을사사화、ウルササファ)

乙巳士禍は1545年、李氏朝鮮の明宗時代に発生した政治的事件であり、当時の権力闘争の中で多くの者が命を落としました。この事件は、明宗の外戚である尹元衡と、仁宗の外戚尹任との間での権力闘争を背景にしています。

事件の発端

1544年11月、中宗の死去を受けて仁宗が即位しました。仁宗は生母を早くに失い、継妃である文定王后によって育てられました。そのため、母の影響力が強く、政治的にも文定王后の次弟である尹元衡が政局に大きな影響を与えていました。一方で、仁宗の叔父である尹任は、彼を支持する大尹派を形成し、激しい派閥争いが展開されました。

仁宗は短い在位期間で士林派の名誉回復を試み、自ら道学政治を掲げて士林派の登用を進めるも、わずか9か月後に健康を損ない急死しました。仁宗の死因は謎に包まれており、当時の噂では文定王后による暗殺説すら浮上していました。

事件の展開

仁宗の急死により、大尹派は後ろ盾を失い、明宗と文定王后に支持される尹元衡率いる小尹派が優位に立つこととなります。尹元衡は巧妙な策略を用い、大尹派のリーダーたちを自決に追い込み、彼らに従っていた士林派の官僚たちも次々に追放しました。この一連の出来事が「乙巳士禍」と名付けられました。その結果、尹元衡が政権を掌握し、権力の割合が変わりました。

政治的影響

乙巳士禍の後、尹元衡は1547年にも良才駅壁書獄（양재역 벽서 사건）を引き起こし、先の事件で生き残った士林派も排除しました。この事件は「丁未士禍」とも称され、尹元衡はその後、権力を完全に独占することになりました。彼は文定王后が存命中にはその外戚として栄華を極めましたが、彼女の死後、次第に権力を失い、デンマークまでを自害することになりました。

結論

乙巳士禍は、李氏朝鮮における権力の移行と派閥間の激しい闘争を象徴する出来事です。事件は多くの人々の運命を大きく変え、後の歴史においてもその影響を残しました。李氏朝鮮の政治の複雑さと、権力がどのように機能していたのかを知る上で重要な史実と言えるでしょう。

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