士林派

士林派の歴史と発展

概要

士林派（しりんは、サリムパ）は、李氏朝鮮時代の主要な政治党派の一つであり、特に勲旧派や戚臣との対照において存在感を示しました。士林派は朱子学を基盤とする新興官僚によって形成され、特に中小の在地両班がその中核をなしました。士林派の理念は、朝鮮における朱子学の発展と深く結びついたものであり、世宗の時代から続く文人的な権威を背景に構築されました。

士林派の台頭

士林派は、1467年の李施愛の乱以降に急速に力をつけていきました。その時期、王族の政治参入が禁じられると、勲旧派や戚臣が政権を独占するようになりました。成宗はこの状況を打開するため、士林派の新興官僚を登用し、権力のバランスを取ろうとしました。しかし、士林派の急激な台頭は旧来の権力構造にとって大きな脅威となり、次第に権力争いが激化していきます。

士禍と権力争い

1498年、士林派に対する大規模な弾圧（戊午士禍）が発生し、金宗直に連なる士林派の大多数が処刑されます。この時、燕山君が即位し、その性格もあいまって、士林派はさらなる厳しい打撃を受けました。1504年にも、廃妃の毒殺事件に関連して、さらに多くの士林派が粛清される事態になります。

その後、1510年には新たに登用された士林派の指導者である趙光祖により、再度勢力の試みが行われましたが、激しい改革が失敗に終わり、1519年には新士林派の多くが抹殺される（己卯士禍）という悲劇が繰り返されました。

中宗と仁宗の時代

1521年には中宗が即位し、政権は勲旧派や戚臣に譲られましたが、1544年には士林派の名誉が回復されます。その後、仁宗が短命で後を継がれた明宗の時代には、士林派の復興希望が再燃しました。しかし、明宗は若すぎたため、権力争いが再び激化し、外戚勢力が台頭してきます。

朋党政治の形成

1575年から始まった朋党政治では、士林派内部の東人と西人という派閥が生まれ、権力争いが熾烈化しました。この分裂は、士林派が政界を牛耳る中で、官職が限られていたために生じた現象です。1591年には東人が政権を握るものの、内部分裂が続き、政権が不安定になる中で各派閥の対立が続きます。

その後、1616年に西人が政権を掌握し、数々の国難を乗り越えていくものの、時代が進むにつれて南人や西人の間での相互作用が続きました。

南人と西人の争い

1710年代から1770年代にかけて、粛宗の治世では南人が強大な力を持ちましたが、政権の流動性が高まり、各派閥の対立は激化していきます。正祖の時代には洪国栄の勢力が力を持つ一方で、彼が失脚すると士林派は再び台頭。しかし、逆風により信西派の衰退が進みます。

士林派の終焉

1800年、純祖が即位すると、僻派が実権を握り、士林派は完全に消滅していきます。特定の一族が政権を独占する中で士林派の影響力は失われ、李氏朝鮮は新たな時代を迎えました。このように、士林派の歴史は権力の変遷、争い、そして衰退の物語に他なりません。

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