九一式戦闘機

九一式戦闘機（きゅういちしきせんとうき）

九一式戦闘機は、第二次世界大戦前の日本陸軍において初の単葉戦闘機であり、陸軍独自の設計によって製造された初めての機体です。この機体は、複葉戦闘機である甲式四型戦闘機の後継として採用され、主に中島飛行機によって製造されました。

概要

日本陸軍は1927年に、次期主力戦闘機の開発を複数の航空機メーカーに依頼しました。その中の中島飛行機では、フランスから招聘したアンドレ・マリー技師を中心に、新しい戦闘機の設計に取り組んでいました。1928年には試作機「NC」を完成させ、1931年には改良を重ねた末に九一式戦闘機として制式採用されるに至りました。

この機体の設計では、航空機の安全性と安定性が求められ、強度を増加させる改良作業が行われました。九一式戦闘機は、1929年から1931年にわたる間に多くのテストを経て、最終的に陸軍の主力機として位置付けられたのです。

構造

九一式戦闘機は、流線型の全金属機体とパラソル翼を特徴としています。また、主翼にはフランス製のニッケル・クロム・モリブデン鋼が用いられ、開放式風防が装備されています。製造後も強度やエンジンの改善が継続的に行われましたが、機体の特性から水平飛行時に失速する傾向が残り、これが最後まで課題となりました。

運用

この戦闘機は満州事変や第一次上海事変といった事態において使用されましたが、直接的な戦闘記録はありません。九一式戦闘機は1934年までに計342機が生産され、中島飛行機と石川島航空機がその製造を担当しました。また、戦後も多くの機体が愛国号として寄贈されたことから、軍事及び歴史的に重要な役割を果たしました。

現存する機体

現在、九一式戦闘機の胴体が所沢航空発祥記念館に展示されています。この機体は1933年に製造され、長期間倉庫で保管されていたため、劣化が少なく良好な状態で発見されました。記念館では、この機体の製造過程や技術についての多くの痕跡が残っており、2008年には日本航空協会から重要航空遺産に認定されました。

また、九一式戦闘機のプロペラもいくつかの場所で保存展示されており、奈良県や長崎県の神社や薬局においても、戦闘機の歴史を物語る貴重な遺産として展示されています。

スペック

• - 乗員：パイロット 1名
• - 全長：7.27m
• - 全幅：11.00m
• - 主翼面積：20.0m²
• - 自重：1075kg
• - 全備重量：1530kg
• - 動力：中島ジュピター7型空冷レシプロエンジン
• - 出力：520HP
• - 最大速度：320km/h
• - 巡航速度：300km/h
• - 航続距離：700km（約2時間）
• - 実用上昇限度：9000m
• - 上昇率：5000ft/9'00"
• - 武装：7.7mm機関銃×2

このように、九一式戦闘機は日本陸軍の航空機歴史において重要な位置を占め、技術革新とともに進化した機体として知られています。

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