九七式中迫撃砲

九七式中迫撃砲

九七式中迫撃砲（97しきちゅうはくげきほう）は、大日本帝国陸軍が運用した迫撃砲の一つです。これは、「皇紀2597年」、つまり1937年に設計が始まったことを示す名称ですが、正式な採用は1942年6月とされています。この背景には、先行モデルの九六式中迫撃砲の制式化が1939年であったことが関係しており、年式と制式制定年にズレが見られる点も特徴的です。

砲の概要と設計

九七式中迫撃砲は、運動性をさらに高めるために、前作である九六式中迫撃砲から駐退復座機を取り除いています。この砲も滑腔砲の系列に属し、有翼弾を発射することができます。設計が始まったのは1937年12月で、翌年には二度にわたる試験を経て、長と短の二種類のモデルが製造されることとなりました。1938年10月には両モデルの試験を実施し、短モデルは1941年1月、長モデルは4月に実用適合と認められました。そして1942年6月に正式に採用されました。

長モデルは九七式軽迫撃砲と同様に木製の大型副床板を鋼製の床板の下に敷いて使用され、この副床板は370kgという重さを持ちます。そのため、長モデルの総重量は先代の九六式中迫撃砲とほぼ同等でした。また、短モデルの改良版として試製された九九式短中迫撃砲は、床板を小型化し砲身を短縮し、軽量化される試みがなされましたが、最終的には制式化には至りませんでした。

構造と部品

九七式中迫撃砲の構造は、主に砲身、連結架、方向照準機、高低照準機、脚、照準具、床板から成り立っています。具体的な各部の機能は以下の通りです。

砲身

砲身部分は砲身体と砲尾体に分かれ、ネジで連結されています。砲身体には連結架の取り付け部があり、砲尾体は実際に砲弾を発射するための機構である撃発機と床板と連結されています。撃発機は安全装置として機能する安全筒を備えており、撃発モードや墜発モードの切り替えが可能です。

連結架

連結架は砲身の前部に取り付けられ、緩衝機によって発射時の衝撃を吸収し、方向照準機と接続されています。これにより砲の動きがスムーズになります。

方向照準機と高低照準機

方向照準機は砲の方向を調整するための装置です。この機器は誘導ネジやハンドルで構成されており、砲の向きを正確に設定することができます。高低照準機は砲の高さを調整するために、昇降ネジと歯車システムで構成されています。

照準具と床板

照準具は砲の射撃角度を設定するための道具で、L型の倍率3倍の眼鏡が使われています。床板は砲尾体を支える重要な部分で、鋼鉄製の主床板と木製の副床板から成り立っています。副床板を使用することで、砲の安定性を高めています。

生産と展開

1942年10月時点での生産数は171門にのぼり、その後は後継の二式十二糎迫撃砲の生産に移行しました。九七式中迫撃砲は、前作の技術を踏まえた新たな試みとして、多くの要素が改良され、実用的な迫撃砲としての地位を確立しました。

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