九七式曲射歩兵砲

九七式曲射歩兵砲の概要

九七式曲射歩兵砲は、日本陸軍が運用した迫撃砲であり、1937年に開発が始まり、1939年に制式化されました。これは、歩兵大隊に配備されていた九二式歩兵砲を補完するために設計された兵器です。本砲は、特にその軽量性や発射速度が評価されましたが、一方で射撃精度の低さにより弾薬消費が多くなり、運用には制約がありました。

歴史的背景

昭和6年、フランスのストークブラン社が口径81mmの迫撃砲を日本に売り込むも、九二式歩兵砲の導入が決まっていたために採用は見送られました。しかし、迫撃砲の必要性は認められ、特許と見本が購入され、研究が始まりました。この研究からは九四式軽迫撃砲や九六式中迫撃砲が開発され、迫撃砲技術の基礎が築かれました。

後に満州事変や中国大陸での戦闘を通じて、中国軍が使用したドイツ製迫撃砲の効果を見た日本陸軍は、同様の兵器の必要性を再認識しました。これを受けて、ストークブラン式迫撃砲を基にした九七式曲射歩兵砲の設計が、1937年から始まりました。この兵器は、1938年に陸軍歩兵学校での試験を経て、限定的な運用を前提に制式化されました。

特徴と性能

九七式曲射歩兵砲は、その軽量さや発射速度、発砲時の音や煙の少なさが高く評価されましたが、射撃精度が低いことが問題とされました。それにもかかわらず、運用がなされ、特に二線級師団に配備されることが多かったです。太平洋戦争が始まると、その需要が高まり、生産数が増加しました。海上機動旅団の主要な重火器としても採用され、活躍の場が広がりました。

本砲は、ストークブラン社の81mm迫撃砲をライセンス生産したアメリカ軍のM1 81mmと弾薬が互換性を持ち、日米ともに敵国製弾薬の射表が用意されていました。1942年までに1,238門が生産され、昭和17年度には888門が製造されました。また海軍でも三式八糎迫撃砲として採用され、対潜威嚇用にも使用されました。

諸元

• - 種別: 迫撃砲
• - 口径: 81.3 mm
• - 砲身長: 1,269 mm
• - 重量: 67 kg
• - 俯仰角: +45〜+80度
• - 旋回角: 左右各3度
• - 初速: 196 m/秒
• - 最大射程: 2,850 m
• - 発射速度: 20発/分
• - 弾薬: 81 mm迫撃砲弾
• - 砲弾: 九七式榴弾、一〇〇式榴弾

このように九七式曲射歩兵砲は、日本陸軍において重要な役割を果たした兵器であり、その軽便さと発射性能から、一時期は多くの部隊に配備されました。

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