九九式十糎山砲

九九式十糎山砲について



九九式十糎山砲（99しき10せんちさんぽう）は、大日本帝国陸軍が1939年に正式に採用した105mm口径の山砲です。この砲の開発は主に日中戦争の影響を受けています。戦争が始まった1937年には、既存の41式山砲や94式山砲などが前線に投入されましたが、より高威力の軽火砲が必要となりました。

陸軍技術本部は、敵軍である中国の部隊が使用していたフランス製のシュナイダー社の105mm砲を鹵獲し、これを基にして新しい山砲の設計を行います。この結果、94式山砲より少し重くなりますが、分解して駄載できる機能を考慮し、99式10センチ山砲としての正式な採用に至りました。

特徴と構造



99式山砲の砲身はオートフレッタージュ方式、通称自己緊縮式を採用した単肉砲身であり、また油圧式の駐退機が装備されています。この山砲は折りたたみ式の脚架を有しており、分解しての搬送が可能でした。しかしながら、その重量により常時分解して駄載するには適していなかったため、通常は組み立てた状態での輸送が原則とされました。悪路での使用時には、必要に応じて分解して駄載されました。

当初、ばん曳に必要な馬は2頭、分解駄載の際には10頭を要するため、実際には運用に多くの人手や馬を必要としました。本砲が制式採用された直後に太平洋戦争が勃発し、その結果、92式歩兵砲の生産が優先されたため、99式山砲の生産数は限られました。

改良と影響



昭和16年には、99式山砲は分離薬筒式から完全弾薬筒式へと改良され、これにより運用の効率性が向上しました。これらの変更は、戦局が厳しくなる中で、より迅速かつ効果的に火力を運用するために必要とされました。

九九式十糎山砲は、その設計や運用の特性から、当時の戦局において求められる特徴を備えた兵器と言えますが、戦争の進展とともにその生産数は制約を受けました。今振り返ると、この山砲は当時の技術力の成果を示しており、帝国陸軍の装備の一端を担っていました。

参考文献



関連項目


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