九九式破壊筒

九九式破壊筒について

九九式破壊筒（きゅうきゅうしきはかいとう）は、大日本帝国陸軍において工兵や歩兵部隊が利用した爆弾の一種です。この装置は細長い鋼の筒に炸薬を充填したもので、必要に応じて連結して使用することができました。主に鉄条網やその他の障害物を破壊し、突撃路を確保するために設計されています。

開発の経緯

1938年に発生した支那事変における戦闘経験を基に、歩兵でも使用可能な障害物破壊のための装置の開発が求められました。開発は同年の9月に始まり、九二式爆破管を基に設計が行われました。初期の試験では、筒体と点火具の各部にいくつかの問題が発覚しましたが、試行錯誤を経て改良され、最終的には1940年に実用に達しました。

特に1939年には運搬の便を考慮し、筒体の長さを短縮し、改良型点火具の試験も成功を収めました。数回にわたって行われた試験を通じて、威力と安全性が確認され、さらなる改良も行われました。

構造と機能

九九式破壊筒は複数の部分から構成されています。管頭（直径42mm、長さ105mm）と呼ばれる先端部分には弾頭形状が施され、障害物の内部へと挿入しやすくなっています。管体は35mmの直径を持つ引抜鋼管製で、長さは1,150mmです。両端には接続ねじが設けられ、内部には二号淡黄薬が充填されています。また、破壊筒一式は、管頭3個、管体6本、発火具3個を収納した状態で輸送され、その重さは約33kgとなります。

点火具は発火のための装置で、引縄や安全栓、点火管から成ります。発火させるためには、管体末端のネジにねじ込み、引綱を引く必要があります。この構造により、発火時の安全性が確保されています。

爆破効果

九九式破壊筒を用いることによって、約3メートルの幅の障害物を切り開くことが可能です。特に鉄条網の破壊活動では、下士官一名と数名の兵士で編成された班が取り組み、全長2メートルの破壊筒を用いて効果的に障害物を排除しました。導入した後は、全員が指定された場所に退避し、最後尾の兵が点火用具を保持していました。

鉄柵を破壊する際は、破壊筒を根元に並行に配置し、両脇にも破壊筒を置いて同時に爆破する形がとられました。この他、壁や門扉の破壊にも同様の手法が用いられます。九八式五糎投擲機を使用して投擲する「羽付破壊筒」という改良型も存在し、投げる距離は最大290メートルに達することができ、鉄条網や軽い掩蔽部の破壊に特化していました。

結論

九九式破壊筒は、大日本帝国陸軍において重要な役割を持っていた障害物破壊用の兵器です。多様な装置と工夫を駆使し、戦況に応じた効果的な戦術を可能にしました。この筒はその技術的特性とともに、戦時中の実用性を実証するものとして、歴史的にも注目される存在です。

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