九二式車載十三粍機関砲

九二式車載十三粍機関砲

九二式車載十三粍機関砲は、大日本帝国陸軍が開発した、装甲戦闘車両に取り付けられるタイプの機関砲です。この武器は、空中および地上の敵を有効に攻撃する能力を持つことを目的としており、特に軽戦車や航空機への対抗を狙っていました。

開発の経緯

この機関砲の設計は1922年4月に始まり、当初は飛行機や戦車に対して効果的な攻撃ができる火器として求められました。標的の高度は2,000m以下で、高射と平射が同時に行えるものとして、口径は約13mmを目標にしました。1931年には車載用としての研究方針に変更され、1932年2月には試製機関砲が試験されました。この試験では、連射が若干スムーズでなかったものの、簡単に改善可能であると判断され、射撃速度は毎分400発に達しました。

1932年11月には第二回試験が行われ、2,000発の射撃に耐えた結果、実用に達する見込みが確認され、急速な整備が求められました。最終的に同年12月には仮制式が制定されました。

構造と機能

九二式機関砲は、装甲車に搭載され、主に敵の装甲車両や航空機をターゲットにしました。全長は1,360mm、砲身の長さは1,000mmで、空冷式の構造が採用されています。弾倉には30発入りと15発入りの2種類があり、機関部は後座する仕組みで設計されています。

この砲にはバネ式の駐退復座機がついており、揺架の重量は14kgです。照準に関しては、倍率1倍で視界50度、射程は1,500mに対応できる設計がなされています。大中小の三つの照準環があり、それぞれの速度に応じた照準が可能でしたが、戦争後半の速度を考慮すると、実戦では効果的な射撃が難しい側面もありました。

また、後に三脚が追加され、この実装により地面に設置した状態での全周射撃が可能になりました。高低の調整もでき、幅広い射撃が行えるよう設計されています。

性能

九二式機関砲は、13.2x99mmの弾薬を使用し、毎分450発の発射が可能です。最大射程は6,000mで、方向射界は35度、高低の射界は70度から-15度まで調整できます。弾薬には普通弾、徹甲弾、焼夷弾など多様な種類があり、それぞれ異なる用途に応じた特性を持っています。

特に徹甲弾は、500mで20mm、800mで16mm、1200mで12mmの防弾鋼板に対する貫通限界が設定されており、対装甲戦闘において非常に高い威力を持っていました。また、曳光弾を使用することで射手は弾道を視認でき、目標への命中精度を向上させることが可能でした。

弾薬の種類

九二式機関砲で使用される弾薬には多くのバリエーションが存在し、例えば、普通弾は人馬を殺傷することを目的とし、徹甲弾は装甲目標の破壊を目的としています。焼夷弾は航空機の燃料タンクを狙い、曳光弾は弾道を視認するために使用されます。これらの弾薬は、任務に応じて混合使用することもでき、戦術的な柔軟性を持っていました。

このように、九二式車載十三粍機関砲はその設計が非常に多様で、目的に応じた戦術で運用される重要な兵器でした。陸軍はその性能を活かし、さまざまな戦闘で活躍させることを目指しました。この機関砲は、装甲戦闘車両の中核装備として、当時の戦争において重要な役割を果たしました。

もう一度検索