九八式軽戦車

九八式軽戦車 ケニ

九八式軽戦車ケニ（きゅうはちしきけいせんしゃ ケニ）は、日本陸軍で開発された軽戦車の一つです。この戦車は、九五式軽戦車の後継として1938年に設計が始まり、試作車が1939年9月に完成しました。開発は二社が担当し、東京自動車工業（後のHino Motors）のケニAと三菱重工業のケニBが存在しましたが、最終的にケニAが採用されました。

概要

九八式軽戦車は、低い車体高さと、溶接を用いた装甲板の接合方法が特徴的です。これにより、リベット接合に比べて砲弾が当たったときのリベットの破損を防ぎ、戦車内への飛散を抑えました。また、装甲も強化されており、最大装甲厚は九五式の12 mmから16 mmに増加しています。それにも関わらず、重量は軽減され、速度も向上しました。特に、円錐台形を持つ砲塔と斜め装甲板により被弾経始が考慮されています。

さらに、開発では後輪駆動と油圧操縦による丸ハンドル式操向装置が導入され、独立懸架システムを使用した大型転輪を4つ備えています。この構造により、最高速度は55 km/hに達しましたが、量産型では従来のシーソー式連動懸架と前輪駆動方式が採用されます。サスペンション機構は車体内部に納められ、被弾への耐性が向上しましたが、その結果、車内容積が狭くなり、製造時や整備時の不便さも生じました。

武装

九八式軽戦車の主砲には一〇〇式37 mm戦車砲が採用され、九五式軽戦車に搭載されていた九四式37 mm戦車砲よりも攻撃力が向上しました。車載機銃は削減され、主砲と同軸に配置されたことで敵歩兵に対する即応力が大幅に向上しました。砲塔は二名用となり、偵察能力も強化されています。しかし、主砲の開発は遅れ、一〇〇式37 mm戦車砲が制式化されたのは1941年になってからでした。

エンジンは統制一〇〇型空冷直列6気筒ディーゼルに変更され、横向きに配置されることで車体のコンパクトな設計に寄与しています。燃料タンクの容量は128リットルであり、懸架システムや装甲の改善を基本に設計されました。

生産状況

九八式軽戦車は多くの面で改良が加えられましたが、九五式軽戦車と比べると決定的な性能差には至りませんでした。これにより、日本陸軍は既存の九五式軽戦車の生産を続け、結果的に九五式は2,378輌が生産されたのに対し、九八式は113輌にとどまりました。

バリエーション

九八式軽戦車にはいくつかの改良型や派生型が存在します。例えば、試製対空戦車タセは九八式軽戦車の車台に九八式二十粍高射機関砲を搭載したもので、試製対空戦車ソキは連装の二式二十粍高射機関砲を搭載しています。また、九八式軽戦車改は、新たな砲塔に一式47 mm戦車砲を搭載したモデルも計画されました。

登場作品

この戦車は、ゲーム「World of Tanks」や「War Thunder」にも登場し、プレイヤーが操ることができます。特に「World of Tanks Blitz」では、ケニBが販売されたものの、その性能が優越しすぎたため、わずか2日で販売中止となりました。

九八式軽戦車ケニは、その技術的な進歩と特色を持った戦車として、日本の戦車開発史において重要な役割を果たしました。

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