九八式二十粍高射機関砲

九八式高射機関砲について

九八式高射機関砲（98式高射機関砲）は、日本陸軍が1938年に開発した口径20mmの高射火器であり、フランスのオチキス製機関砲を基にして設計されました。この機関砲は、当時急速に進化する航空機に対抗するために必要とされ、特に低空で飛行する敵機に対し高い発射速度で効果的な攻撃を行うことを目的としています。

開発の背景

第一次世界大戦後、航空機の能力が飛躍的に向上し、陸軍はしばしばこの新しい脅威に対抗するための対空火器の強化を必要としていました。昭和初期には、射撃性能の高い小口径機関砲の開発が進められ、その結果、九八式高射機関砲の開発に至りました。特に昭和6年（1931年）の満州事変を契機に、航空機に対するより強力な火器が求められるようになりました。

審査経歴と性能

陸軍技術本部は、必要な火器についての調査を行い、十分な性能が求められるという方向性を確認しました。九八式高射機関砲は、自動連発方式を採用し、口径20mmの高射能力を持つことが特長でありました。性能としては、初速は900m/s、重量は450kgで、射撃角度は-5～+85度、360度の方向射界を有していました。この機関砲の構造としては、三脚式砲架、ガス圧作動、鼓形弾倉が使用されおります。

開発過程

開発は銅金義一中佐を中心に進められ、何度かの試作を経て最適化が行われました。1934年には第一次試作品が完成し、様々な試験を通じて改良が施され、1938年に九八式高射機関砲として制式制定されました。

機構と運用法

九八式高射機関砲は、局地防空用の火器として設計されています。特に対空戦闘を主眼においていますが、当時の戦車の防御力も考慮し、低空での対戦車戦闘も想定されています。使用する弾薬の互換性があり、九七式自動砲との類似性も見られます。機関砲隊では、測距機を使用して距離測定を行いながら、迅速な射撃を行うための簡易な照準器も導入されています。

自走化の試み

九八式高射機関砲に自走式の構想が早くから存在し、自動貨車搭載型や装軌車搭載型などが研究されましたが、最終的には実現しませんでした。車載型も整備がされず、この点は当該機関砲の運用において制約要因となりえました。

実戦での活躍

九八式高射機関砲は、昭和14年のノモンハン事件において初めて実戦に投入され、以降、対空戦闘や対戦車戦闘で効果を発揮しました。多くの部隊に配備され、太平洋戦争の中でも主力の高射機関砲として用いられました。しかし、戦争が進むにつれてより高性能な航空機が登場するようになり、最初は効果を発揮していたものの、その後効果が薄れていくことも否めませんでした。

派生型とその後

九八式高射機関砲には多くの派生型が存在し、操作の利便性や運用効率向上を図った設計変更が施されました。トン数や構造で様々なバリエーションが試作され続けましたが、戦争の激化と共に新型火器の開発と併せてこれらの完成度や生産状況は複雑化していきました。このようにして、九八式高射機関砲は多くの歴史的背景を持ち、時代を経て軍事技術が進化していく中で重要な役割を果たしました。

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