九品仏浄真寺

九品仏浄真寺について

九品仏浄真寺（くほんぶつじょうしんじ）は、東京都世田谷区奥沢七丁目に存在する浄土宗の寺院であり、山号は「九品山」、正式名は「九品山唯在念佛院淨眞寺」といいます。この寺の名前である「九品仏」は、寺に安置されている9体の阿弥陀如来像に由来し、一般的には寺そのものや周辺地域を指します。

歴史的背景

浄真寺が位置する地は、かつて世田谷吉良氏の奥沢城があった場所です。小田原征伐の後、この城は廃城となり、寛文5年（1675年）には当地の名主七左衛門がこの地を寺地として受け継ぎました。そして、延宝6年（1678年）には僧侶の珂碩（かせき）がここに浄真寺を開山しました。これにより、浄真寺は長い歴史を持つこととなります。

九品仏の意義

浄真寺の本堂前には3つの阿弥陀堂があり、それぞれに3体ずつ、合計9体の印相が異なる阿弥陀如来像が安置されています。これらの像は、浄土教における極楽往生の9つの階層を表しています。この九品往生は、『観無量寿経』に基づいており、それぞれの像には上品・中品・下品と生を示す印相が適用されています。

なお、九品仏の教義的根拠は明確ではなく、日本の近世に考案されたものとされ、他の寺院でも見られる存在です。特に、京都の浄瑠璃寺にも似た九体の阿弥陀像がありますが、その印相の構成は異なっています。

文化財の宝庫

浄真寺は、多くの文化財を有しており、東京都指定の文化財にも指定されています。主な有形文化財には以下のものがあります：

• - 木造阿弥陀如来坐像（9躯）
• - 木造釈迦如来坐像
• - 木造珂碩上人坐像

また、絵画の中では「絹本著色珂碩上人像」が、工芸品では「梵鐘」が位置づけられています。さらに、浄真寺の境内には天然記念物として評価されるイチョウやカヤが存在し、その景観は訪れる人々に深い印象を与えています。

また、無形民俗文化財として「二十五菩薩来迎会」があり、この伝統行事は3年ごとに行われます。特に、菩薩の来迎を表現するために、僧侶たちが菩薩の面をかぶり、本堂と上品堂を結ぶ橋を渡る様子は、非常に神聖な雰囲気を醸し出しています。

境内の紹介

浄真寺自体の外にも、歴史的な価値を持つ施設がたくさん存在します。世田谷区の指定文化財には、奥沢城跡や仁王門、三仏堂、さらには彫刻類として乾漆珂碩上人倚像や木造五劫思惟阿弥陀如来坐像などがあります。

墓地には著名な人物が眠っており、加藤家など名家の墓もあります。そして、浄真寺境外の地蔵堂も地元住民に親しまれています。

周辺環境と交通アクセス

九品仏はただの寺ではなく、周辺地域の名の由来にもなっています。特に、周辺は閑静な住宅街で、地域の住民や子供たちにとって、九品仏小学校など教育機関も近くにあります。交通アクセスも良好で、東急大井町線の九品仏駅が寺の入口すぐ前にあり、自由が丘駅からも徒歩圏内です。

また、2022年にはオリンピックのゴールドポストが設置され、地域の名所としても注目されています。

結論

九品仏浄真寺は歴史と文化が交差する場所であり、訪れる人々に多くの学びと感動をもたらします。訪問の際は、その豊かな文化財や行事の数々に心を留めてみてください。

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