九四式三号型特殊受信機

九四式三号型特殊受信機について

九四式三号型特殊受信機は、大日本帝国陸軍によって開発された無線通信傍受装置です。この受信機は、軍司令部や師団司令部に設置され、可能な限り多くの軍用短波と一般通信周波数を傍受するために設計されています。運搬は、三九式輜重車丙1輌に搭載し、必要な器材は駄馬2頭で運ぶことが可能でした。全備重量は180kgに達し、移動性に優れた性能を誇ります。

開発の経緯

開発は大正15年から始まり、当初は軍司令部や師団司令部に装備するための具体的な案を作成に着手しました。昭和3年には方針を改めて研究を再開し、特に軍用波長と一般固定局が使用する波長を幅広く傍受できる高級な装備が求められました。また、複数の機器を近接に配置しても使用できることや、移動の利便性も重視されました。

昭和4年においては、短波と長波を受信可能な二部構成にすること、駄馬2頭か輜重車1輛で運搬できる条件が設定され、第一次試作品の設計も完了しました。これに引き続き昭和5年には、特別大演習において実際の使用を行い、機能向上のための補備装置の研究が進められ、主要部分がほぼ決定されました。

昭和6年にはさらなる方針変更が行われ、機能の向上が求められることが明確にされました。これに基づいて器材は特別通信演習に参加し、実際に電信隊の兵員に使用され、当初の目的に適合していることが確認されました。昭和7年以降、無線技術の進展があったため、所要の補修も行われました。

制式化と構成

昭和10年3月には兵器採用検査が行われ、短期間で製造可能であるとの報告が上がりました。同年9月には仮制式制定の上申案が決策され、11月には陸軍技術本部から異論がなかったことから、仮制式の制定が認められました。12月には正式に申請が行われました。

受信機の構成は、受信装置、付属品、予備品からなります。受信装置には、長波受信機と短波受信機が含まれ、拡大機能と検波機能を備えています。長波の周波数範囲は12から2,000キロサイクル毎秒、短波は1,000から20,000キロサイクル毎秒となっています。

付属品には、受話器やワイヤーカッター、ねじ回し、携帯電圧計、収納用の箱4個が揃えられ、これらは輜重用15年式駄馬具によって運搬可能です。また、予備品として交換用部品も含まれます。

材料としては、約20m長の被覆線による空中線が使用され、懸架して使用されるほか、地線として数本を地上に敷いて用います。

参考文献

• - 陸軍軍需審議会長 梅津美治郎『兵器仮制式制定の件（軍需審議会）』昭和11年12月09日。アジア歴史資料センター C01004247000

関連項目

• - 無線機
• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

このように九四式三号型特殊受信機は、当時の無線通信技術の発展を反映し、兵器としての機能性と運搬性を兼ね備えた重要な装置であったと言えます。

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