九四式四号型特殊受信機

九四式四号型特殊受信機について

九四式四号型特殊受信機は、大日本帝国陸軍のために開発された特殊な受信機です。この受信機は送信機能を有しておらず、主に近距離での進路指示に使用されます。その運用範囲はおおよそ10km以内であり、部隊の進行方向を正確に知るための重要な機材となっていました。この機材は兵員2名によって携行され、必要な装備は1名でも運搬可能です。

この受信機の開発は昭和9年から始まります。具体的には、歩兵や工兵の方向探知を目的として設計され、厳しい環境条件でも使用可能とすることを目指しました。たとえば、森林の中や夜間、または濃霧や煙幕の中でも、正確な進行方向を決定し位置を特定することができるようにされました。

開発の初期段階である昭和9年4月には、歩兵1名が運搬するのに適した機材で目標の性能が確認され、さらにその後の試験で最適な周波数が決定されました。昭和9年5月から8月の間には、試作機材を使って複数の試験が行われ、第二次試作も実施されました。

昭和10年1月には試作機が完成し、3月には陸軍歩兵学校での評価が行われました。この評価では、方向を維持しながらの夜襲に使えることが大きく評価されました。また、6月には陸軍工兵学校での渡河演習にも使用され、実際の運用においても大きな効果があることが確認されました。さらに、8月まで続けられた試験によって、暗夜や煙霧、森林での方向維持の有効性が立証され、工兵用の特殊機材としての重要性が高く評価されたのです。

昭和11年3月には第三次試作が行われ、前回の試作からの成果をもとに、短期間での製造が可能であると判断されました。同年11月には陸軍技術本部に対して、本機の意見を求めましたが、これに対して異論は出ず、その結果、仮の制式制定が報告されました。

機材の構成

九四式四号型特殊受信機は、主に以下のような構成要素から成り立っています。
1. 受信装置: 受信機は拡大と検波機能を有し、機体下部には方向指示器が備わっています。周波数範囲は1,000から1,500キロサイクル毎秒です。
2. 付属品: 受話器などが含まれています。
3. 予備品: 交換用部品が備わります。
4. 空中線: 一辺300mmの正方形の折畳み式枠にワイヤーを巻いた枠型空中線があります。さらに、長さ約1130mmの繰り出し式補正空中線もあります。
5. その他付属品: 携帯電圧計や革製の収納用具がついています。

その後の歴史において、この受信機は日本陸軍の重要な通信機器として位置付けられました。受信機の特性や作業時の実用性が確認されたことから、特に緊迫した戦況の中でその有用性が際立ちました。戦場において、この受信機は兵士たちの指導と連携を支えた重要な役割を果たしたのです。

参考文献・関連項目

• - 明治大学名誉教授 梅津美治郎『兵器仮制式制定の件（軍需審議会）』昭和11年12月09日、アジア歴史資料センター C01004247000
• - 無線機
• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

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