九州大学電算センターファントム墜落事故

九州大学電算センターファントム墜落事故

1968年6月2日、福岡市の九州大学箱崎地区で、アメリカ空軍のRF-4Cファントム偵察機が合計地上にある計算機センターに墜落した。この事故は大学において多大な影響を及ぼし、反戦デモや大学内部の対立を引き起こすこととなる。

事故の概要

事故は午後10時48分頃に発生し、墜落したのは建設中の大型計算機センターであった。建物は5階と6階が完全に崩壊し、残骸が建物にぶら下がる状態に。幸いにも、当日は工事が行われていなかったため、人的被害は発生しなかった。乗員2名は墜落直前に無事にパラシュートで脱出している。

このファントム機は、沖縄の嘉手納飛行場に展開していた部隊に属し、プエブロ号事件への対応として韓国に派遣された後、板付飛行場へと移動していた。また、この事故により、飛行機の運用についても見直しが求められることになる。

大学の反応

事故の翌日、九州大学の総長である水野高明はアメリカ軍と日本政府に抗議を表明。学生や教職員により約4,000人がデモを行い、抗議活動は日を追うごとに規模を増していった。６月４日には、6,000人以上が参加した市内デモが行われ、その後も連日のようにデモが続いた。

アメリカ側は、事故原因が明らかになるまで、夜間飛行を控えることを約束。また、九州大学上空の飛行を避けるための措置も講じられることとなった。これに伴い、板付飛行場の移転を含む両国間での協議が始まった。特に、大学内には放射性物質を使用した実験室もあったため、墜落事故の危険性が強調された。

残骸の扱い

墜落したファントム機の残骸は、大学自治の観点から米軍による撤去を拒否する声が強まっていた。しかし、大学内では引き下ろし派と残す派が対立。7月には残骸の自主引き降ろしが決定されたが、反対派が実力で阻止し、8月中には保管庫の建設を試みたが衝突が発生し、多数の負傷者が出た。これにより建設は中止され、騒動は継続することなる。

結果と影響

1969年1月、ファントム機の残骸が引き降ろされる事件が発生。事件による圧力が高まる中、総長は辞意を表明し、以降大学内では学生運動が活発化。卒業式が中止となり、無期限ストライキや建物封鎖などの行動が行われた。学校側は次第に運営に関する新たな法が制定されるに至る。

1969年12月には大型計算機センターの建設が再開され、1970年には完工し、やがて運営が開始された。板付飛行場は1972年に返還され、福岡空港となったことで、九州大学は新たに伊都地区へと移転する運びとなる。事故は九州大学に深い爪痕を残し、その後の運営体制に多大な影響を与えた。特に航空機の墜落という悲劇が二度と繰り返されないよう、多くの教育機関が危機管理の強化に取り組むきっかけとなった。

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