九州鉄道20形電車

九州鉄道20形電車

九州鉄道20形電車は、西日本鉄道（通称・西鉄）の前身となる九州鉄道によって、1937年から1941年の間に新しく製造された電車です。この車両は、普通列車用として設計されており、主に天神大牟田線での利用を目的としていました。特に、その軽量構造が特筆すべき特徴であり、加速性を保つために気動車の技術を取り入れています。

概要

九州鉄道線、現在の大牟田線が全線開通した際に、新たに整備された車両の中で、特に30両近くの20形電車が製造されました。車体の長さは13.6メートルと比較的短いため、都市間輸送に適していました。前面は流線型で、5枚窓が特徴的で、当時の流行を反映しつつも気動車のデザイン思想が影響を与えています。

第二次世界大戦中には、1945年に筑紫駅で発生した空襲事件により、この電車も大きな被害を受けました。空襲による多くの犠牲者もあり、大きな歴史的背景を持っています。

形式

この20形は、主に以下のような形式で構成されています。

モ20形（モ200形）

• - 電動車: もともとは1937年から1939年にかけてモ21から30の10両が製造され、1940年に200形に改番されて、1941年に追加でモ211から216までの電動車が製造されました。ただし、製造予定であったモ217から220は、電装品不足のため制御車として製造されました。
• - 改造: 1952年から順次、片運転台化が実施され、以後も編成の編成単位化が進められました。

ク250形およびサ250形

• - ク250形: 200形の制御車。1941年に10両が製造され、特に改番される際にモ200形から電動車に改造された車両もあります。
• - サ250形: 残りの制御車は付随車に改造され、連結面での貫通路が設置され、連結の利便性が向上しました。

ク60形およびサ60形

これらは200形とは異なる形式で、元は気動車として製造された車両が改造されたものです。外観や車体構造も異なりますが、同じ系列として運用されました。

運用とその後

当初、製造された20形電車は福岡と大牟田を結ぶ路線で運用されました。しかし、戦後間もなくの1945年8月8日の筑紫駅での空襲事件により、数名の乗客が死亡しました。
その後、1948年には甘木線でも使用され、1950年代には固定編成が設定されました。このように、さまざまな編成方式が導入されて運用の効率を図りましたが、車体の短さから輸送力には限界がありました。

1969年以降は甘木線専用となり、アップグレードや改装が行われましたが、1989年には新型車両に置き換えられ、最後の運行を経て徐々に廃車となりました。唯一の現存車両はモ211の前頭部が個人により保存されていますが、今後の保存や活用方法も注目されます。

このように、九州鉄道20形電車は製造から廃車に至るまで、さまざまな歴史的な背景を持つ重要な電車でした。

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