九州鉄道72形蒸気機関車

72形蒸気機関車について

72形はかつて九州鉄道に所属していたタンク式蒸気機関車で、日本の鉄道史の中で重要な存在として知られています。この機関車は1889年にアメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークスで製造され、本来は筑豊鉄道のために設計されました。特にこの機関車は、開業用に建設された際、車軸配置が0-4-2(B1)であることが特徴です。

機関車の製造と特徴

72形は製造番号10371を持ち、ボールドウィン社での呼称は6-14 1/3Cです。筑豊鉄道では「2」という番号が与えられました。この機関車は、単式2気筒の飽和式リアタンク機であり、当時の蒸気機関車としては十分な性能を有していました。

1897年、筑豊鉄道は九州鉄道にその事業を譲渡し、72形も九州鉄道の一部となりました。九州鉄道では、この機関車に新たに72形（72）の番号を割り当てました。1900年には、同じく筑豊鉄道から譲渡された71形と共に八幡製鉄所に移籍し、そこで「8」として運用されるようになりました。その後、番号は110に改められました。

セクションの改造として、運転室が木製から鋼製に変更され、さらにそのサイズも拡大されました。また、背部水槽は取り外され、炭庫は縮小されると共に新たに側水槽が設けられました。これに伴い、蒸気ドームや砂箱の形状も見直され、性能向上が図られたのです。

主要諸元

72形の諸元は以下の通りです：

• - 全長: 6,915mm（前端梁・後端梁の長さは6,172mm）
• - 全高: 3,200mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-4-2(B1)
• - 動輪直径: 914mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダーサイズ: 254mm×406mm
• - ボイラー圧力: 9.8m²
• - 火格子面積: 0.61m²
• - 全伝熱面積: 24.80m²
• - 運転整備重量: 14.97t
• - 水タンク容量: 2.05m³
• - 燃料積載量: 0.30t

後の運用

1951年の時点で72形は既に解体されていることが確認されており、1940年代後期には運用が終了していたと考えられています。このように72形は、鉄道の発展の中で重要な役割を果たしながらも、時代の変遷と共に消えていった一台の蒸気機関車と言えるでしょう。今ではその存在を知る人は少なくなりましたが、鉄道ファンの間ではその歴史的価値が評価されています。金田茂裕氏の著書「ボールドウィンの小形機関車」にもこの機関車の詳細が記されています。

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