九鬼隆寛

九鬼隆寛（くき たかのぶ）

九鬼隆寛は、江戸時代中期に活躍した大名で、丹波国（現在の京都府）の綾部藩第4代藩主です。播磨国（現在の兵庫県）林田藩主・建部政周の三男として生まれ、後に綾部藩主・九鬼隆直の養子となりました。正徳3年（1713年）に隆直が隠居したため、家督を継ぎ藩主となりました。

藩主としての功績

隆寛は藩主として、藩の教育と財政の立て直しに尽力しました。正徳5年（1715年）には、藩士の子弟教育のため、藩校である進徳館を創設しました。この藩校は、藩士の学問水準の向上に大きく貢献したとされています。また、享保年間には天災が相次ぎ、藩財政は危機的な状況に陥りました。そこで隆寛は、藩札の発行や上米制度、御用金賦課などの大胆な藩政改革を行い、財政再建を目指しました。これらの改革は、藩の財政を立て直す上で大きな役割を果たしました。

隠居と晩年

明和3年（1766年）、隆寛は家督を四男の隆貞に譲り、隠居しました。隠居後もその影響力は大きく、藩政に様々な助言を与えたと伝えられています。天明6年（1786年）に87歳で亡くなるまで、その生涯を藩の発展のために捧げました。法号は休翁隆山泰岳院です。

九鬼家の血筋

隆寛の血筋は、綾部藩九鬼家だけでなく、九鬼家宗家の三田藩九鬼家にも受け継がれています。次代の隆貞は隆寛に先立って亡くなりましたが、その婿養子の隆棋を除いて、綾部藩九鬼家は隆寛の血筋で続いています。また、隆寛は、九鬼家宗家である三田藩九鬼家に、隆貞の兄の隆由、次いで隆邑を養子に出しており、幕末に養子入りした隆義以後も含めて、こちらも隆寛の血筋で続いています。

系譜

父: 建部政周（たけべ まさちか、1674年 - 1757年）
母: 河野通房（こうの みちふさ）の娘
養父: 九鬼隆直（くき たかなお、1687年 - 1752年）
正室: 黒田直邦（くろだ なおくに）の娘
長男: 九鬼隆恭（くき たかやす、1724年 - 1758年）
三男: 九鬼隆邑（くき たかむら、1727年 - 1820年） - 九鬼隆由の養子
次男: 九鬼隆由（くき たかよし、1718年 - 1744年） - 九鬼隆抵の婿養子
四男: 九鬼隆貞（くき たかさだ、1729年 - 1781年）
五男: 九鬼隆許（くき たかひろ）
女子: 永井直行（ながい なおゆき）正室 - のち浅野長寿（あさの ながひさ）正室
女子: 諏訪頼寿（すわ よりひさ）室
女子: 花房職雍（はなぶさ もとやす）継室
養子: 九鬼隆英（くき たかひで、1715年 - 1746年） - 九鬼隆直の長男

参考文献

『寛政重修諸家譜巻第952』

九鬼隆寛は、藩主として教育と財政の立て直しに尽力し、その血筋は後世まで受け継がれました。その生涯は、江戸時代の藩主として、模範となるものであったと言えるでしょう。

もう一度検索