乞四比羽

乞四比羽の生涯と歴史的背景

乞四比羽（きつし ひう、? - 698年）は、7世紀の中国東北部で活躍した歴史的人物であり、渤海の建国に深く関与した靺鞨（またはモンゴル系民族）出身の指導者です。彼は、隣国の高句麗が滅亡し、その後の混乱の中で重要な役割を果たしました。

高句麗滅亡と硝煙の中での生活

高句麗がその頂点を迎えていた時期、乞四比羽は大きな影響力を持っていましたが、その運命は急変します。唐の時代、彼は高句麗が滅亡した後、唐の営州に強制的に連行され、抑留生活を余儀なくされました。この抑留生活の中で彼は、故郷の人々を思いながら過ごす日々を送ります。彼の心には復興への想いが宿っていました。

契丹の反乱と乞四比羽の脱出

696年、契丹による反乱が起こり、その混乱に乗じて乞四比羽は営州からの脱出を果たします。彼は、同じく高句麗の遺民たちを率いて、かつての高句麗の領土への移動を図りました。この行動は、彼自身の自由と故郷の復興を目指す大胆なものでしたが、唐側の注目を引くことにもなります。

唐の武則天と乞四比羽の拒絶

その後、唐の女性皇帝である武則天（則天武后）は、乞四比羽を懐柔しようと試みます。彼女は乞四比羽を許国公に任命し、その忠誠を得ることを望みました。しかし、乞四比羽はこの提案を拒絶し、自身の信念に従いました。この決断は、後に彼の運命を大きく変えることになります。

戦闘と最期

武則天の命令により、李楷固という将軍が彼を攻撃するために派遣されます。乞四比羽は、高句麗の遺民や靺鞨の人々を守るため、李楷固との戦闘に臨みますが、残念ながらこの戦いで彼は戦死してしまいます。この戦死により、乞四比羽の名は歴史の中に深く刻まれることになります。

大祚栄との関係

乞四比羽の戦死の後、高句麗の遺民と靺鞨たちは、彼の子である大祚栄の指導のもと、新たな団結を果たし、渤海の建国へと至ります。乞四比羽の活動は、彼の子息に引き継がれる形で、その後の渤海国の成立に繋がったと言えるでしょう。

テレビドラマにおける乞四比羽

韓国のテレビドラマ『大祚榮』では、乞四比羽はコルサビウという名で描かれています。この作品では彼が楊万春の部下であり、大祚栄と義兄弟の契りを結んでいる様子が描かれていますが、歴史的な事実との整合性については疑問が投げかけられています。慶星大学の韓圭哲は、コルサビウと大祚栄が義兄弟であるという著作は史実に基づいていないと指摘しています。

まとめ

乞四比羽の生涯は、歴史の転換期における奮闘と忠誠心を象徴しています。彼の足跡は、後の渤海国の繁栄に寄与しただけでなく、彼の名は多くの物語やドラマで語り継がれています。彼の人生は、歴史の中の一つの重要な瞬間を示すものであり、今後も研究の対象であり続けるでしょう。

もう一度検索