乳香の土地

乳香の土地とは

乳香の土地（にゅうこうのとち）は、オマーンのドファール特別行政区に位置するユネスコの世界遺産として知られています。ここは古代の乳香の交易によって栄えた地域であり、一連の貴重な遺跡群が含まれています。ドファール地区は、乳香の主要な生産地であり、この地域で栄えたオアシス都市の遺跡や港の跡地、交易路の跡が現在も残っていることが評価され、2000年に世界遺産に登録されました。

主要な登録対象

乳香の土地には4つの主要な遺跡が登録されており、それぞれが異なる歴史的背景を持ちます。

1. シスルの考古遺跡（Archaeological site of Shisr）

この遺跡は、紀元前2世紀にさかのぼるオアシス都市の痕跡を残しており、かつて交易路の重要な地点として栄えていました。しかし、3世紀にはその重要性を失ったとされています。要塞の壁の遺構が現存し、世界遺産としての面積は0.36ヘクタール、緩衝地帯には176.33ヘクタールがあります。

2. ホール・ルーリの考古遺跡と自然環境（Archaeological site and natural environment of Khor Rori）

ホール・ルーリは、紀元前1世紀末に建設された港であり、乳香の交易において重要な役割を果たしていました。ここでも要塞跡などが残されていて、世界遺産としての面積は3.128ヘクタール、緩衝地帯は1018.77ヘクタールです。

3. アル＝バリードの考古遺跡（Archaeological site of al-Balid）

この遺跡は、鉄器時代に遡る港町の跡で、様々な名前で呼ばれてきました。12世紀頃まで栄え、中世のモスクの構造物が発見されています。世界遺産の面積は50ヘクタール、緩衝地帯は48.2ヘクタールです。

4. ワジ・ダウカの乳香公園（Frankincense Park of Wadi Dawkah）

ワジ・ダウカは、乳香の主要な生産地であり、3000年前から取引が行われていました。この地域は乳香の木が生い茂っており、世界遺産としての面積は796.4ヘクタールです。

世界遺産としての評価と登録基準

乳香の土地が世界遺産に登録された理由は、この地域の遺跡群が古代の乳香交易や中世の要塞の様子を静かに伝えていることです。文化遺産としてのジャンルは「サイト群」や「文化的景観」とされており、この地に残る伝統や文明の稀な証拠としても評価されています。登録基準の庭では、文化的伝統や重要な歴史上の時代を例証する建築様式や景観の優れた例が挙げられています。また、元々は「乳香の交易路」という名称で登録されましたが、2005年に現在の名称に変更されました。

まとめ

乳香の土地は、古代から続く文化と交易の歴史を物語る場所として、今日でも多くの人々に評価されています。自然環境と人間の営みが融合したこの地域は、次世代へとその価値をしっかりと伝えていく希望の象徴となっています。

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