乾正信

乾 正信について

乾正信（いぬい まさのぶ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活動した武将です。彼は土佐山内氏の家臣として知られ、板垣退助の先祖にあたります。正信は知行1000石を持ち、その家紋には「榧之内十文字」が用いられています。

幼少期の生涯

正信は甲斐国にて、武田氏の家臣、板垣信憲の嫡男として誕生しました。彼の父、信憲は武田家の筆頭家老を継承するも、その素行に問題を起こし、武田信玄によって解任される運命を辿ります。信憲の不行跡から家名は危機にさらされ、最終的には「板垣」の名を召し上げられ、追放されたと伝えられています。

幼少時の正信は、父の死後、北原羽左衛門と都築久太夫という従者に守られながら籠居生活を送りました。正信の弟、板垣正寅もまた厳しい運命に直面し、母と共に丹波国へ避難した後、京都へ預けられました。正寅は後に神社界隈で影響力を持つ人物となります。

青年期と仕官

1570年代、正信は武田氏が滅亡するとともに浪人となりました。その後、1580年代に入り、豊臣秀吉の小田原征伐において山内一豊に仕官します。正信は彼の推挙を受け、「乾」の名を名乗ることを許され、知行地として遠江榛原郡勝間田麻生村が与えられました。この時、彼の石高は136石であり、後に1000石に昇格します。

慶長6年には主君の山内一豊が土佐に封じられた際、正信は1000石の知行を得、また20人の鉄砲衆を従えて職務に就くことになります。

晩年と死去

乾正信は慶長13年の春に病を得て亡くなります。彼は高知県の板垣山に葬られ、養子である正行がその後を継ぎました。正信の生涯は多くの逸話に彩られ、彼の人柄や精神が周囲に影響を与えていたことが伺えます。

逸話と思い出

正信についての逸話の一つには、彼の挑発的な性格が表れているエピソードがあります。ある日、彼は馬に乗っている際に道を譲った者に遭遇し、思わぬトラブルに巻き込まれます。正信は侍としての誇りからその従者を討ち取りましたが、山内一豊の介入によって、彼は謹慎処分を受けることとなります。

この出来事は彼の主君との信頼関係を示すものであり、正信がその後許されたことからも、彼が信頼されていたことが理解できます。「御調法の侍」として、正信はただの武士ではなく、周囲から重用される人物であったことがわかります。

家族と系譜

乾正信は父・板垣信憲のほか、正妻や養子、弟とも深い関係を持ち、家族は多くの伝説や歴史に名を刻んでいます。正信の直系の子孫には板垣退助が存在し、彼の名は日本の歴史に燦然と輝いています。正信の存在は、武士の家系における名誉や誇りを体現するものでした。

正信に関する詳細な記録は数多く残されており、その中で彼の人柄や時代背景、家族関係が浮き彫りになっています。彼の存在は、当時の武士の在り方を考える上で重要な要素を持っていると言えるでしょう。

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