乾正士

乾正士の生涯

乾正士（いぬい せいし、1868年4月17日 - 1941年6月18日）は、日本の軍人であり、自由民権運動にも参加した影響力のある人物です。彼は旧土佐藩士族の家系に生まれ、特に父は著名な政治活動家である板垣退助です。そのため、彼の生涯は家族の影響を大きく受けていました。

幼少期と青少年時代

乾正士は1868年に土佐藩の城下町、高知で生まれました。彼の母親は萩原復斎の娘であり、家系がもたらす影響を意識しながら育ちました。幼少期、彼は旧家の家督を相続するために養子となりました。

青年期には、高知県土佐郡潮江村に転住し、兄とともに「発陽社」という民権結社に参加しました。この団体は、自由民権運動に深く関わる重要な組織であり、正士はその活動を通じて政治の道へ進むことになります。さらに、東京専門学校（現在の早稲田大学）を卒業し、軍に入隊したことが彼の軍人としてのキャリアの始まりでした。

軍人としての活動

正士が軍人としてのキャリアを積む中で、彼は1895年に台湾へ派遣され、台北の平定に貢献するなど目立った活躍をしました。その後、彼は台湾総督府で書記官として働きましたが、黄熱病に感染し、療養のために日本に戻ることになります。その後、高知に戻った彼は、結婚し2女1男をもうけるなど、家庭生活も充実していました。

家族と信仰

妻である八重野は、長野県の養蚕業の功労者の家系出身で、彼女との結婚後、信仰心が育まれました。大正時代に入ると、彼は家族の教育や牧師としての役割にも関心を持つようになり、特に娘たちの教育に熱心でした。次女は結婚後、教育の道に進む一方、長女も通信での教育活動に取り組んでいました。

大正6年、彼はプロテスタントとしての信仰を深める中で、高知教会で洗礼を受け、以降は教会活動にも関わりました。

晩年と影響

昭和に入ると、乾正士は地域社会での活動を通じて自由民権運動の意義を再認識し、「旧自由民権運動家追悼会」などに関与しました。彼は1950年代にかけて、長男が教職を通じてさらに家族の名を高めることを期待していました。しかし、彼自身は戦争と社会の変動の中で大きな喪失を経験しました。

1941年、乾正士は74歳で逝去しました。その生涯は、彼の家族や信仰、自由民権運動の活動に彩られ、今なお彼の影響は多くの人々に伝えられています。

参考文献

• - 『高知教会百年史』（高知教会百年史編纂委員会編、1985年）
• - 『板垣精神』（一般社団法人板垣退助先生顕彰会編纂、2019年）

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